Modern English metaphrase of THE SEVEN SAGES OF ROME (MIDLAND VERSION)
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[参照] ミッドランドバージョン対訳の前に

M

1985年 卒論ローマ七賢物語(サウサーンバージョン)より

橋 泉


卒論下書き原稿文章加筆修正なし
 皇帝に"...ich moste here..."(...I must hear...) 私は聞かねばならないと言わせて彼女の
"Herowde" ヘロデ王の物語に誘った。  ヘロデ王は、新約聖書に登場する紀元前1世紀中頃から紀元1世紀末までパレスチナに勢力をふるった ヘロデ家の人物名と同名である。しかし出所未詳であり、
ヒブリュー語『シンディバード物語』には載せられていない。  1856年生まれのアイルランド人
オスカーワイルドは、分邦ユダヤ王 ヘロデアンティパス、イエス時代にヨルダン川付近において説教と授洗と予言的活動をし イエスにバプテスマを授けたヨハネ、シリア人、ローマ人、兵士、侍童、
ユダヤ人、奴隷、首斬役人を登場人物とする戯曲『サロメ』"Salome" を パリ滞在中に書いた。
《そのあらずじ》 ヘロデは、兄弟ピリポの妻ヘロディヤを王妃に迎え先の王妃と離婚した。王妃の父アレタ4世と共に 結婚を非難したヨハネは獄に入れられた。ヘロデは群集を恐れ、聖なる人ヨハネを恐れて彼自身の手で殺せなかった。 ヘロデの誕生日の祝宴で舞を舞ったヘロデヤの娘サロメは、「国の半分でもあげよう」という王の申し出を母に告げて 「バプテスマのヨハネの首を」という指示を得た。「盆にのせて直ちにヨハネの首を」彼女は王に言った。 衛兵は、少女の願いに応じる役人として列座の人達も知る王の命を受け獄中でヨハネの首を切った。
戯曲は、エロディアスが踊りを拒否し続けた果てに、サロメがヨハネの首に恋の口づけをするシーンで終わる。

 ディオクレシャン帝のキリスト教徒迫害時代に、『ローマの七賢物語』の由来を求めることは、方法として ここにワイルドのサロメを持ち出すような当て所もない試みだ。
第十一物語の内容語の一つ "besaund" は、bezant, Byzatine coin ビザンティンコインである。
ベザント金貨とは、歴史的にはキリスト教信仰を公認した Constantine コンスタンチヌス1世が、
ディオクレチアヌス退位後に発行した金貨で solidus, ソリドゥス金貨ともいう。

皇妃の第十一物語
下書き原稿ベース原文を織り交ぜながら
昔、ローマに『中世詩 ローマ七賢物語』の登場人物ディオクレシャン帝のように、
七人の優れた学者達が仕える皇帝がいた。
"Þe richest man of Cristendome," (The richest man of Chiristian empire,)
キリスト教帝国のうちで最も金持ちの男だった。
"Herowdes was his riӡte name," (Herod was his right name,)
その名は(ユダヤ人の王と同名の)ヘロデ
七賢人達はヘロデ王を操り教国に夢占いの慣習をはびこらせた。
それはあたかも 『中世詩、ローマ七賢物語』の序章で、
白髪の長老バンシラス師が、星占いによって王子の命運を知り皇妃の黒魔術の解き方を判断した
筋書のリメークのようだ。 皇妃は占星術の七賢人を退却させるために夢占いの悪徳物語を考えた
のだからstory中のstory展開である。
その夢占いとは、
"Þat who þat mette a sweuen aniӡt ," (That who that dreamed a dream a night,)
夜夢を見た者が、          
"He scholde come amorewe apliӡt" (He should come a morning a plight)
朝になると窮地を脱するべく七賢人の下へ行き
"And brenge a besaund to offring ," (And bring a bezant to offer,)
ベザント金貨一枚を持って提供すると、
"And of his sweuen haue vndoing." (And of his dream have solved.)
その人の見た夢を解いてくれるという慣例であった。

上記赤字は、日本語には訳さないことが多い、a, an, [ひとつの、ある] 
不定冠詞が名詞と合体した語彙:  {a+niӡt}  {a+morewe}  {a+pliӡt} と類推した。
a dreame, a night, a morning,  a plight,  a bezant,「一つの夢、一夜、一朝、 通例悪い状態、
ベザント金貨一枚」
参照比較:one day,  one dream,  one night,  one morning, ....「ある日、ある夢、ある夜、
 ある朝、、、」  『Thousand and One Nights』 「千夜一夜=1001夜物語」

"So longe þai vsed þis errour" ( So long they used this error)
彼らがこの不正で世渡りしている限りは
Þai were richcher þan þemperour." (They were richer than emperor.)
皇帝よりも七賢人達のほうが富裕だった。
"So hit bifel vpon a dai," (So it fell upon a day,)
そんな日々、ある日不幸がローマ皇帝の身に降りかかった。
へロド皇帝がローマ門外へまさに出かけんとした時、石のように盲目になった。
七人の学者達は彼らの本で病因を突き止めるために
"Þai asked respit a fourten niӡt," (They asked respite a fourteen night,)
およそ14夜の照査延期を求めた。
皇帝が彼のタワーに帰った後で
"And þe maistres hom went," (And the masters home went,)
師達も帰宅して
"And hire bokes went and trent," (And their books turn and roll,)
彼らは本のページをめくり表紙が裏表紙になって閉じては開くこと数冊さらに巻物もあった。
 現代英語の go は、古英語(アングロサクソン語)では wenden, went,
turn: 回転する、ぺージがめくれる・・・・direct one's course: まっすぐにある方向に向けるなど
余りにも多義なので太鼓橋なのか落下してしまうのか天動説を取り入れた中世期の
W から始まる言葉である。

その後、学者らは一人の老人に出会い、老人は必ずやその真実を告げることができるのは
全世界に暮らす人々の中で父無し子に他なるまいと彼の考えを主張した。
ヘロデの賢人達は馬に乗って探し回ったところある日、マーリン ”Merlin ”の遊び仲間の一人が
"And cleped him sschrewe fatherle," (And called him ignominious fatherless,)
彼を軽蔑すべき父無子と呼び
"And sside he was of þe fendes kinde," (And said he was of devil kind,)
彼は悪魔の血つながりだと言い、
それを受けてマーリン少年が、
"Daþeit haue þou, quaþ child Merlin," (Woe betide to you, said child Merlin,)
「そんなことを言うとひどい目に遭うぞ、」
.............spak þi Latin." (.....spoke the Latin.)
とラテン語でしゃべっていた。
     参照 《tell all one's woes 》 悲しい身の上話をする。 研究社新英和大事典2837ページ
E版補足
”The cerkys axyede "what ys name thyne" (The clergys asked "what is your name?")
学者らは聞いた。「君の名は?」
"Certeys, he sayde, my name ys Merlyne." (Certainly, he said, my name is Merlyne.)
「その通り、僕の名前はマーリンです」と彼は答えた。


七人の師達が、はるばるローマから僕を探し求めて来て
何か夢判断をさせるならすぐに彼らの手となり足となれるよ。」
七賢人と同時にその国(that land)の男が一人、
"And brouӡt a besaund in his hond,"  (And brought a bezant in his hand,)
彼の手にベザント金貨一枚を持って現れた。
     続く数行は悪徳宗教のような勧誘である。
"Man, þou art ful meruelious, " (Man, you are full marvellous,)
「君、貴方は全く信じられないだろうけれど、
"Þou woldest haue vndoing"  (You would have undone )
解いて欲しかったのなら
"Of þi toniӡtes meting."  (Of your tonight's dream.)
昨夜の夢を。
"Forþi þou woldest þat o besaund offer;"  (Therefore you would that of bezant offer;)
そのベザント金貨を手渡してください。
"Bere hit hom in to þi coffer;"  (Bear it home in to your coffer;)
貴方の貯金箱に還元するためにもそれを提供てほしい、
home in は現代ホームイン、『野球で、走者が本塁に生還すること、 また生還とは、危険をくぐりぬけて生きて還ること。』 岩波広辞苑第5版参照 ,  
その他この一行の誤訳は千差万別と思われる。 もしthe coffers 複数ならば財産をはたいて入信するとか。
例えば、get home; 家に帰る、不快な言葉などが十分理解される、ねらいが当たる、、、、 etc.
hit home; 急所をつく、 命中する、 ことばなど痛切に感じらる、、、、、、研究社新英和大事典第六版、home 参照

"And I sschal telle and nowt ne lie," (And I shall never tell a lie,)
そうすれば私は嘘偽りなく話して進ぜよう。
"What þi meting signefie."  ( What dream siggnify.)
「貴方の夢の意味するものは何か。
昨夜貴方は肥しの山の夢を見たのですね。
井戸の水が吹き上がって実に香しく味わい深かったので
貴方と貴方の隣人達を賑わしました。
私の予言は的中するでしょう。
その井戸には黄金が埋めてあります。
家に帰りすぐ肥しの山を掘りなさい。」
・・・・・・・・・・
七賢人と同時にやって来た男はマーリンが判じた通りあり余るほどの金を
掘り当てその黄金で彼のみならず隣人たちも金持ちにした。
読み解けないのは下記の一行。
"He ӡaf þe maistres of þe gold," (He if the masters of the gold,)
master とは何ぞや? マスターの金?
雇い主、親方、熟練者、精通者、名工、指導者、師、、、、、、、、、、
第十一物語の七賢人は、ヘロデ王政下で夢占いの慣習を民衆に普及させ、
私腹を肥やしていたのだが、王が盲目になった原因を正しく告げ得るという
父無し子のマーリンを見つけた国でマーリンの夢占いが彼らとは裏腹に
善行となっていたことを思い知らされるのだった。
愛すべき少年の姿は、
"But Merlin saide, bi heuene king," (But Merlin said, by the King of heaven)
しかしマーリンは、天の主たる神に誓って言った。
"He wolde þer of no þing. (He would not there of thing.)
彼はそれをについての褒美を何も欲しなかった。
学者達の優しい言葉(mild mouth)の問いかけを理解したマーリンは、
"Ich kan telle him ful wel whi."  (I can tell him full well why.)
「私は王様に何故目が見えなくなったのか十分話せます。」と答えたので
七賢人はマーリンを連れて彼の町からローマへ帰路についた。
学者達が、ヘロデ王に約束していた14日めの回答日になった。 (the day is come of answering)
"Lo her, sire, a litel page," (Look, sir, here is a little page,)
陛下、御覧下さい、ここにおりますのは小さな騎士見習でございます。
彼らがマーリンをそのように紹介すると、
”Quaþ þemperour " of lime and lond," (Said the emperor "of life and land)
Wil ye his tale take an hond?"  (Will you his tale take a hand?)
皇帝は言った。「汝らは彼の話をわが命と国に関与させようとするのか?」