Modern English metaphrase of THE SEVEN SAGES OF ROME (MIDLAND VERSION)
Home

[参照] ミッドランドバージョン対訳の前に

N

1985年 卒論ローマ七賢物語(サウサーンバージョン)より

橋 泉

卒論下書き原稿をベースとして原文を織り交ぜながら再構成
マーリン(Marlin) が、青年でなくまだ少年であることが強調されている語彙は、
a litte page の他に child である。
"þe childes tale we wil auowe." (The child's tale we will acknowledge.)
「私達は子供の話すことに真実性を認めます。」
"Tel me, he saide, child Merlin!"  (Tell me, he said, child Merlin !)
私に言ってごらん、マーリン坊や!と彼は命じた。
皇帝はマーリンに請われるままシナの木と石で造られた部屋に彼を通すと、
"Merlin his tonge wiӡwit whet," (Melin his tongue with wit ad whet,)
マーリンは、機知に富んだ扇動的な話しぶりで、
「陛下のベッドの下には7つの噴出口から沸沸と泡をたて沸騰している大釜があります。
泡立っている間は決して目は見えません。
噴出の消滅が
"Þou miӡt wel haue þi siӡt." (You might well have your sight.)
視力回復に妥当します。」  と言った。
皇帝は驚異の念がつのり
"And tok ten men oþer twelue," (And took ten men other twelve,)
10人の家来他12人の召使を連れて
地中深く掘ったところその大釜を発見したので
"Þo was ileued þe schildes steuen," (They was believed the child's voice,)
子供の声を信用するようになった。
ヘロデ皇帝は、
"Ac telle me ,child, son reaouns," (But tell me, child, some reason,)
「ところで神童よ、私に何らかの理由を聞かせてほしい。
この泡沫の前兆は何だろうか?
学者達やナイト達を御前から退出させると
"Þanne beginneӡ þe child Merlin" (Then begins the child Merlin)
チャイルドマーリンはしゃべりはじめるのだった。
"To tell þemperour swich Latin:" (To tell the emperor sucu Latin.)
帝に対してこのようなラテン語を。
"Sire, he siad, bigod in heuen, "  (Sir, he said, by the god of heaven,)
「陛下、天の神に誓いて、
沸き上がる7つの泡は陛下の七賢人を示し、
彼らが法律を新しい慣例に改めて支配しています。
"Þat þe mai wel sore rewe." (That you may well sore rue.)
それが陛下をつらい後悔に導く種となること必定です。
七賢人以外の聖職者や騎士そしてある夜夢を見た者は誰でも
彼の手にベザント金貨や銀貨を持って行くと
七賢人は彼らの流儀で夢を判じて彼ら自身好きなように解説するのです。
このようにして彼らは多くの人々を欺いているのです。
私が見つけたまさにその罪こそ陛下がめしいになった原因です。
"Now tel me child, þin entent," (Now tell me child, thine intent, )
汝の意図はとヘロデ王が子供に改善策を問う仕儀と相成った。
"Leue sire, for mi loue," (Blieve sir, for my lord,)
マーリンは、
「閣下のために信じ給わん、
"Bi on of hem mi tale proue." (By one of them my tale prove.)
彼らの中の一人をもって私説の真偽をお試しあらん。」
皇帝は彼の言説どうり最年長者の首をはねたとたんに
最大噴出がやんだ。
老いた師の首を大釜に投げ入れ七人を皆殺しにすると
水は清く透明になり彼は直ちに手を洗いそして国中を見渡した。
「陛下も貴方の師達の言葉に従ってより一層の万事を実行なさるのなら
陛下も盲目に導かれたに相違ありません。
"As hadde Herowdes þe king," (As had Herod the king,)
ヘロデ王がそうであったように。
"Þat was neӡ, browt to iuel ending." (That was not brought to evil ending.)
不運な末路に至るところでした。  (マーリンのおかげで救われた。)
参照比較:聖書の登場人物ヘロデ王 :ユダヤのヘロデ王は、
『幼児のキリストを殺害するためにベツレヘムの2才以下の幼児全部の虐殺を命じたという悪王。研究社新英和大事典』
新約聖書から引用例
★マタイによる福音書、第2章〜『イエスがヘロデ王の代に、ユダヤのベツレヘムでお生まれになった
とき、見よ、東からきた博士たちがエルサレムに着いて言った。』以下略
★マルコによる福音書、第6章16『ところが、ヘロデはこれを聞いて、「私が首を切ったあのヨハネがよみがえったのだ」といった。』
★ルカによる福音書、第23章8 『ヘロデはイエスを見て非常に喜んだ。それは、かねてイエスのことを聞いていたので、会って見たい と長いあいだ思っていたし、またイエスが何か奇跡を行うのを見たいと望んでいたからである。』
★ヨハネによる福音書、『ヘロデ登場せず?』

ローマのヘロデ王は七賢人よりも神童マーリンを重んずる皇妃の物語である。
しかし皇妃にとって血のつながりのない王子はやがて王になる恐るべき子供である。
したがって聖書のヘロデ王と比較することで彼女の矛盾も想像に難くない。
新訳ミッドランドバージョン、MIDLAND VERSIONと比較
第十二物語始まり
"Cokkes crewe and hit was daie," (Cocks crew and it was day,)
雄鶏がコケコッコ―と鳴き夜明けを告げた。
皇帝は直ちに起床し石造りの広間へ行き彼の息子に判決を下した。
第六番目の師匠がその広間に入り、時のバロン(baron, 男爵 直臣、封建領主etc.)方々皆に
気品ある物腰であいさつし、私は新しい中世騎士物語を語りますから
"Ne schal tou neuer leue wimman." (Not shall you never believe woman.)
決して夫人を信じてはなりません。
"Sire, sayd Jesse, ye may me beleve," (Sir, said Jesus, you may me believe.)
サー、イエスが言った、陛下は私を信じるでしょう。
"And his son...
"Þe child
was pult in presoun" (The child was put in prion)
彼の息子、子供は死刑執行延期となって投獄された。
イエス師は彼の推理を説きはじめた。
イエス師の第十二物語

"Sire, he saide, þou miӡt me leue," (Sir, he said, you might permit me to tell,)
陛下、どうか私に物語らせて下さい。
"Hit was a kniӡt, a rich sscherreue, " (It was a knight , a rich evil person,)
かつて一人の騎士でありかつ富んだ悪人がおりました。
我が命よりも愛する若くて美しい妻を持ち、また彼女は彼を理解し、
なかんずく他の地上すべてのものよりも愛していました。
以前のある日彼の妻は先の尖ったナイフをナイトに与え、
その小刀を抜いたまま持て遊んでいたら彼は妻の親指を切ってしまい、
翌朝嘆き死んでしまった。
まことに彼は非常な愚行をしたのだが彼の心は傷つきやすく優しかったのだ。
りっぱに通夜で見届けられた亡骸は、厳粛に埋葬することになった。
礼拝とミサが捧げられてこの男の死体は、宗教的儀式をもって土中に埋め葬られた。
夫人は、何の楽しみもないのだからと言って墓の上に伏して横たわり、
そこから家路に向かおうとしなかった。
"And swore by goddys passyon " (And swore by god's passion)
そして神の[キリスト]受難物語にかけて誓った。
"Right as my lorde deyde for me, " (Right as my lord died for me)
「主人のあとを追って私を死に導き給え。」
涙を流している彼女を慰めようとして
"Here frendes segӡen al þat cas." (Her friends said all that case.)
彼女の友人たちは言った。『 私達は皆一度は死ぬのですよ。金子健二訳参照 』
"Dame, pur charite " (Dame, pure charity )
『お情けですから、金子健二訳参照
「ご自身を哀れみ間違いなく貴女は若くてお美しいのだから
"And maist þe werld mochel avail." (And must the world must avail.)
『汝は世の中の役に立たなければならない。金子健二訳参照
騎士の誉れ高い人が貴方を娶るかもしれません。
礼をもって貴女を家に連れて行きそれからあなた方二人の間に子供をもうけるのです。
喪が明けたのですよ。」
しかし彼女には効き目がなく夫を埋葬した場所で死ぬのよだからもう決してと嘆くばかりだった。
教会の友人達はその墓所の傍らに悲しむ彼女のために『侘住居 金子健二訳語彙を造ってやった。
彼らは火を焚きその夜食料ストックを用意して彼女を一人住まわせた。
彼女が回想に耽って間もなく、
ある日、自国で強盗を働いた3人の盗賊に普通(common)裁判によって絞首刑が言い渡された。
以前は、3人皆騎士であったが彼らのお国を困らせたうえ殺人も犯していたので3人全員
吊るされたのだった。
その国(the, that country)で領地 (his land) を持っている一人の若い騎士(knight)が、
3人の騎士を見張るために鉄と銅の鎧兜に身を固めてその絞首台 (the gallows) にやって来た。
一夜番の日の天候は寒く降りた霜が凍って彼は寒くてたまらなかったがあたりを用心深く
見回していた。すると教会の囲い地に火を確かに見た。
彼は少々温まりたくて美しい火に引き寄せられ馬に乗って走った。
そこで彼は死を悼んでいる美しい婦人を見たのだった。
「お願いですから中に入れてください。」と祈るように言ったが、
"ӡhe saide, ӡhe nolde, bi seint Johain," (she said, she would not, by Saint John,)
彼女は、聖ヨハネの御名にかけてもそれはできませんと断った。
"A ӡis, he seide, leue dame," ( Ah yes, he said, leave dame,)
「おお、イエス、彼は言った、どうぞそのままで。
"I nell þe do harm, ne sschame." ( I will not you do harm, not shame.)
私は貴女を傷つけたり辱めたりはしません。」
" nay, by seynt Austyn !" (nay, by Saint Augustine !)
彼女は聖アウグスティヌスにかけても彼の願いを拒絶したが、
"Ffor no harme hether j come," (For no harm here I come,)
「悪気があってここへ来たのではなく、
"But for cold þat hath me nome!" (But for cold that has me taken!)
冷気が私を遣したのです。」
彼は自分は礼儀正しい騎士であると誓った。
彼女は直ちに彼を中に入れ
"He sat and warmed him bi þe fer," (He sat and warmed himself at the fire,)
彼は座って火にあたった。