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原書 THE SEVEN SAGES OF ROME (MIDLAND VERSION)

ローマ七賢物語 (ミッドランドバージョン) オックスフォード大学出版 2005

原文の解釈ノート

   ハンガリーから来た騎士はプーリア国領主の敵を悉く征服し 彼はその騎士に宝石など財産管理まで任せて全領地の執事にした。 ある日彼は塔あたりを散策した。

2880-90
2880-2884 までの和訳
しかし彼女が見せた早業のトリックとは/ 彼女の部屋に有り余るほどの/ 美しく長く成長したイグサがあった。/ あれもこれも互いに/ 彼女は他のすべてのイグサを置いて/
2885  And made a karole in a stounde. (And made a braid (or chain) in a short space of time. 短期間でイグサを編んで三つ編みにしてはそれを下していった。)
karoleについて: 『この単語は通常 指輪のようなものを意味するがここでの文脈は 明らかにそのような意味を排除している。DeepL機械日本語訳』 考え得る意味は (イグサから作られた)鎖又は三つ編みである。 Karole はリングダンス(輪になって踊るダンス)でパートナーを交代することに 由来する。 MED(中英語辞書)はD版の使い方のためにこの 仮定義を盛り込んだのである。

2886-2890 までの和訳
イグサで編んだ鎖の片方の先端が地面に触れた。/ そしてもう一方は彼女がはるか上の塔の中で持っている。/ そして騎士は塔を仰いで見た。/ そして彼は内心をよく知っていた。/ なぜあの巧妙な仕掛けが作られたのか/

この女性は他のバージョンでも 同じような工夫を巡らしている。 E,F,C,R版において 彼女は手紙を投げ落とす。 (このディティールの原文の意味合いは 項目"Introduction" 本書の序章: 写本の相互関係を参照のこと:)

2891-98 
2891-94 までの和訳
騎士は慎重にひそかに/ 主君の特質(資質)を試した。/ そして考えたのは行き着いた所(イタリアのプーリアの領主の塔が聳える場所)そこに/ 彼は一つの塔を樹立したいと望んだ。/

2895  Lenand to the mykyl toure, (Being very near to the large towe, 大きな塔に隣接している地続きの家を)
Lenand to について: 推測の定義 '? to adjoin (sth:something;何かあるもの) ...に隣接する。,   be very near to (sth)非常に近い、すぐ近くにある。
これは、 MED(中英語辞書)が引用した唯一の例。

2896-98までの和訳
主君の財宝を入れるために/ 彼はトリックを通じてひとりの女を妻にしようと考えた。/ その婦人は塔の住居に閉じ込められていた。/

古フランス語バージョンA※において 騎士は8日待ってから領主に塔の近くに建物を建てることを持ち掛け 家を要求する。
où je me deduiroie plus priveement et mon harnois y metroie (単語大意:私、演繹する、さらに、私有的に、そして、 私の鎧兜を、そこに、入れる?)(43,011)
その他の中英語原文では騎士はその家に住みたいと言っている。

.........平和なある日騎士は石工を呼び寄せた。
2905: Out of on tour into that othyr,( Out of one tower into the other, 一方の塔からもう一方の塔へ)
2906-10
And a mason and hys brother (And a mason and hys brother そこで石工とその兄弟は)
Vndirtoke anonryght (Began an entreprise at once  すぐに大仕事を始めた。)
Hyt schulde be qwentlyche dyght (It should be ingeniously built  それは工夫を凝らして造るべき通路だった。)
That he schulde with hir speke (That he should speak with her  彼女と会話を交わせたらいいだろう。)
That was in the toure steke. (Who was shut up in the tower. 塔に閉じこもっていた婦人と。 )

他のバージョンには騎士が一人の石工に打ち明けるもっと長い場面が含まれ (E版以外のすべての版で彼は別の国から来たと書いてある。) 騎士は石工に彼の家から婦人の塔まで秘密の昇降口を造るよう頼んだ。しかし 石工が任務を完遂した時騎士は石工を殺すのである。
C版例 『金子健二博士和訳』
Þe knight quit wele þe seruise (The knight requite well the service  『武士は充分善くその功に報いました。』)
Of þe mason for his quayntyse (Of the mason for his cunning 『石工の巧妙な技術に対して』)
He slogh him sone, þat ilk day, (He killed him soon, that same day, 『彼はその同じ日に石工をすぐ殺害したのであります。』)
For fered þat he sold oght say, (For feared that he should anything say. 『彼が何か秘密をもらすであろうと心配したからであります。』)

2913-23
11行の和訳
その婦人は騎士の塔に来ることができた。/ 昼でも夜でも彼が欲する時に/ 誰にも知られず(誰も賢者にはなれない。?)/ 婦人彼女自身とその騎士以外に/ 昇降口は大変巧妙に造られていたので/ 領主はそれを感知しなかった。/ ある日彼は(秘密階段、通路)に沿って 彼女の居る所に来た。/ そして彼が別れを告げた時/ 彼女は一つの指輪を指から抜いて/ ロマンス語で書かれた本が物語るところによれば/ それを彼の指にはめました。/

『これらの詩行はD版特有である。騎士がある期間 好きな時に婦人を訪ねたことを物語っている。そして 彼女が指輪を渡したのは彼が一週間滞在したある日のことだった。 他のバージョンでは騎士が初めて婦人を訪ね、婦人が騎士に指輪を渡すところから 詳細に描かれている。DeepL機械日本語訳

2924-6
3行和訳: そして言った。「愛する人よ。貴方はこっちのものです。/ そして主君に品のよい戯曲のようにそれを見せて下さい。/ そして夜までにそれをまた持って来て下さい。/
この部分もまたD版でなくてはならず校訂者が この物語に加えた多くの変更と彼の扱いの独創性に関する詳細な議論は 「ミッドランドバージョン」"Introductin" (トップページの項:ローマの七賢物語詳説) を参照のこと。

2930  The lorde the rynge vndir[y]at, (The lord the ring noticed or saw, 貴族の領主は指環を見た or 気づいた。)
Wright版: The lorde the rynge undirrat
写本はvndirratと書いてあり そしてMED(中英語辞書)は これを誤りとみなして undiryatを正しい読み方とする。 おそらくコピーのある段階で undiryat の y を長い r と間違えたのだろう。

2933-4
After mete the way he nam, (After meat he took his way toward the tower, 晩餐会が終わると騎士は婦人のいる塔へと秘密の道をたどった。 )
And to the leuedy sone he cam. (And to the lady soon the knight come. だから婦人の許へ騎士は速やかに来た。)

2935-6
Tho the lorde hadde yswore, (Although the lord left first, 領主が騎士よりも先に城を去ったとはいえ)
ӡyt cam he in byfore, (Because of the secret entrance the knight came into the tower before him. 秘密の入り口のおかげで騎士は領主より前に 婦人の塔に入って来た。 )
この時点で原文は改悪してあるように見える。
2935の語彙 yswore (y swore, swear: 誓う, ののしる,etc.) は特に無意味だからである。 2936の 主語代名詞 he は明らかに騎士である。
参照 C版:3455-6
ӡe erl hies to ӡe lady fre; (The noble hasten to the lady free; 『貴族は高尚な婦人の許へ急ぎました。金子健二博士訳
Bot ӡe knyght come lang or he (But the knight come long before him 『武士は彼れよりも先に来ていました。』
)

   騎士は婦人のドレスの膝部分に指輪を投げた。

2938  Forto saue hom bothe fra harme, (For to protect them both against from attack, 彼等2人を攻撃から守るために。)
古フランス語バージョンA※ 中英語バージョンAr,F,C,R において婦人は指輪を彼女の財布の中に入れる。 D版ではそれを彼女の宝石箱の中に入れたと後で語る。

  騎士が去って行くと領主が直ちに塔の内部へ入って来た。

2941-4
And sayed, "Dam, were hys thyn rynge ("Dame, where is your ring? 「マダム、貴女の指輪はどこにあるの?)
That was ate oure bygynnyng (That was at the beginning of our 私達の初めに)
That first gyfte that I gaf the? (That firt gift that I gave you? 私が貴女にあげた最初の贈り物のことですよ)
That rynge late me see!" (That ring let me see!その指輪を私に見せてくれませんか! )

その他のバージョンでは 夫が指輪のことを訪ねる直接話法文に先だって 短い会話を交わす。その対話で婦人は塔に幽閉されている不幸を言葉で言い表すと 夫は彼女をそれほど愛しているので 彼女を塔の居室で大切にしているのだ言う。

2942-3   D版だけが 指環は夫から妻への最初の贈り物だったと書いてあり B版においては 指環は彼の彼女への新年の贈り物だった。

  婦人は宝石や貴重品を入れる小箱の鍵を開けて入れておいたその指輪を持って夫を 欺くことができた。

2953-94   この箇所の和訳:
貴族の夫が言ってしまうや否や/その執事になった騎士が直ちに入って来た。/ 婦人は状況のすべてを話した。/どのようにして夫をだませたかを/ そして言った。「Sir,恐れないで、/貴方の望みを遂げられるでしょう。/ 直ちに私は貴女に話しますから、/どういう風に行動してよいのかを/ おっしゃるのですよ貴方は貴方のお国で(ハンガリー)で有徳の人を一人殺してしまったと/ それ故に貴方は貴方の所有地を失ってしまい、/その上貴方は追放されることになったのです。/ また貴方に愛する妻が一人いるとお言いなさい。/貴方の妻でない一人の愛人が、/ その彼女がメッセージを届けに尋ねて来たと。/貴方の相続が成立したからお帰り下さいという報知です。/ すると彼(イタリアのプーリア領主である夫)は懇願するでしょう。/ 彼が貴方の情人に会わねばならないと。/そこで貴方は直ちに彼の願望を聞き入れてやるのです。 そして私は身支度に取り掛かる。/見分けがつかないほどの他国の一揃いの衣装を着て仮装し、/ 私を見て彼が胸中で訝る時のために/ 塔から降りれないはずの彼の妻であるところの私を見ている間に/ それから私達は私達の意志を持ってよいのです。/私達が一緒に行くときに、/ それ以前に彼は噂を聞かないでしょう。/私のも貴方のも。/ 彼が信じるのはただ私が貴方の国から来た貴方の情人という事だけです。」/ 執事は言いました。/「それはうまくいくはずがない。/ 彼の目は節穴ではなく貴女をちゃんと見るからだ。/ 彼女を見るや否や/彼は直ぐに貴女だということが分かる。」/ 「Sir,彼女は言った。/私の帽子に誓って/ 私の指輪は私の要求を飲ませるのに役立つのです。/ 何故なら彼は広間の晩餐でその指輪が貴方の指にはまっているのを見て、/ さらに彼はその日その指輪を塔の上のこの部屋で見たのだから。/ 彼の思考のすべては次の事柄でしょう。/ 1つの指輪(広間で見たがもう一つ(塔でも見た/) と似ているように/ 1人の女性が別の人と似ているということは多くあり/ そこで背信の結い目が結ばれるでしょう。/ この指輪は彼が正気を失うために必ずや目をくらますものになってくれるのです。/

 プーリア貴族の夫の最終決定は一つの指輪が恐らく別の指輪と似ているだけなのだから 妻と一夜を過ごすだった。
2991-2: As a rynge was lyche anothyr, (As a ring was like another, 一つの指輪が鍵のかかる塔で見た他の指輪と似ていたように。)/ So may a womman be lyche anothir, (So may a woman be like another, そうであるならば一人の女性も別の女性に似ていたのだ。/
その他の原文はD版と相当に異なっている。 翌日領主はミサを拝聴に行き 騎士に狩りに同行するよう頼む。 騎士は今しがた彼の本国に無事帰れるという報知が参り しかも彼の恋人がその知らせを持って来たのだと言って 断った。 騎士は領主を彼等との晩餐に招待した。 領主が狩に出かけると騎士は婦人の許へ行き 彼女を塔から彼の家に連れ出し あたかも彼の国のa ladyであるように衣服と宝石で変装させる。

2960   Whilke manere a d howe [to doon]  (In what manner and how to do  どのような方法でどのようにするのか)  Wright博士は[校訂]しなかった。 To doon はこの詩の至る所にある紋切り型同韻語。
3383-4
Myn maysters loked in the mone, (My masters looked in the moon, 私の師匠たちは月を見て)
And tolde me [wat] was to doone (And told me what was to do  どうすべきか教えてくれた。)

2986  by my hat, (by this hat)(帽子に):誓って  by my head, 中期英語に共通な宣誓

2995-3022
メニューから第14物語の和訳ページ参照
執事はいそいと城へ行った。/ 彼女の夫を狂わすために/ そして彼に自分の恩赦は認められたと告げた。/ それで彼の情人の『来し方行く末 DeepL日本語』は/ その赦免状メッセージを携えてくる/ 遺産相続のために帰郷するようにと。/ そう言って彼は領主に出立の手引きをしてほしいと頼んだ。/ すると領主はとても仁愛深かった。/ そして言った。「貴方の愛人が来たら/ 本当に彼女を歓迎する。/ 今宵は彼女を休ませてあげよう。/ 明日彼女は私のゲスト[guest]であろう。/ 翌日彼女は食事に来た。/ そして領主は彼女の手を取り/ 彼の近くに座らせた。/ そして彼女に彼の料理を賞味させた。/ 彼も彼のナイフで彼の肉を切り分けた。/ そして着席して彼の妻を見つめた。/ それから彼は考え込んでいた。/ 彼の妻なのか妻でないのか。/ 彼が不安に苛まれながら座っていた時/ 直ぐに彼は指環の事を思い起こした。/ また安直に胸中で考えた。/ それはその指輪は妻の物ではない。/ しかし一つの指輪が他の指輪によく似ていたように/ ならば1人の女性も別の女性に似ていたのだ。/ してまた確固として座り喜んでいた。/ このように妻は彼の正常な判断力を失わせた。/