Modern English metaphrase of THE SEVEN SAGES OF ROME (MIDLAND VERSION)
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[参照] ミッドランドバージョン対訳の前に

J

1985年 卒論ローマ七賢物語(サウサーンバージョン)より

橋 泉


以下卒論下書き原稿文章から加筆修正せずに。
翌朝長者に慣習による罪滅ぼしの難行(penaunce; penance)が課せられた。
 これを聞き皇帝は、”I nel nowt do bi here to niӡt” ( I will not do by her tonight.)
「私は今宵彼女と共にしない。」と言い、王子は救助され師はタウンの外へ去って行き
家臣たちは城門を去った。
后妃はこれまでのように部屋で悲しみ出し、将来皇帝との間で起こり得る若い夫人と執事の事例に
沈黙していたと自ら話しかけ、
" ... i seie wiӡ outen fable, " ( i say without fable,)
私は作り話はしないと言って第七物語が始まる。

 このインターバル(幕間的シーン)には
"... it his nowt worþ,"  ( it is nothing worth) それに値打ちはありません。
"...ich hit finde profitable,"  ( I find it profitable) 私はそれが有益だと思います。
后妃の矛盾した二つの台詞がある。
新訳ミッドランドバージョン、MIDLAND VERSIONと比較
后妃の第七物語

 ある時、Poil と Calabre の地を掌中に治めた王がいた。
彼は女性を愛さず青年と遊び、手足にできた腫瘍で彼自身を制しきれず医者を呼び、
医者は尿器を見て、彼の助骨にこう薬を貼り大麦とパンを食べさせ、婦人を召せば
全快すると言った。
王の評判は遠方まで広まり不可能だという執事に王は一握りのデナリウス銀貨と
婦人には20coin を約束し、欲ばりの執事は妻に今夜(in dark) 王のお伽をするよう
命じた。
"þou schalt, bi seint Michel !" ( I will let you , by saint Michael !)
「私は聖ミカエルに誓って、お前を送ります。」
"Who þat silver winne nelle,...
nelle= wish not 欲しくない の否定形は消失し反語who の用法となる。
(Who wish to win that silver) 誰がその銀貨を得たいのだろう。(誰もその銀貨は欲しくない。)
現代英語の例文参照、 研究社英和辞典p.2417 より
"Who would have thought it ?" 誰がそんな事を思っただろう。(誰も思いはしなかったろう。)
 拒絶した彼女も
"Hit nis nowt mi willle, god hit wot" (It is not my will, God know it)
「私の意志ではない。神がそれを知る。」と承諾し、執事が松明を消した。
一睡もできなかった彼は翌朝、彼の妻の腕の中で眠る王を見て悲しみ、
正午近く、"mid morewe" ( middle of the morning)になって 生命にかけて "bi mi lif"
(by my life) 私の妻 "mi lady" (my lady)なのだと訴え、金欲しさのための犯行を白状したが、
王は彼を "puteyn!" (prostitute) 「売春婦」と呼び、起きるまでに汝の卑しき体を
野生馬に引かせ退散しなければ Jesu Crist (Jesus Christ)の名において絞殺刑にすると言い放ち
執事はすべてを失った。 婦人の終わりは、財産(約束の金額であろうか?)を得て領地内の
貴族をも与えられたのだった。

 このようにして皇妃もやがて皇帝に次ぐ領臣を迎え、皇帝の妃ではなくなるだろうと話を結び
皇帝は、"I will do by the if god will"
「もし神の意志であれば私は貴女により遂行する。」と誓った。
新訳ミッドランドバージョン、MIDLAND VERSIONと比較
第八物語始まり


 朝になり、大いなる試みの前に城で皇帝に見出された貴族達が王子の死を考え、広いローマの通りに
第4の師 Malquidras マルキドラスが騎馬で来ると王子はお辞儀をした。
広間で皇帝は師達に罪と罰について次の3行のように述べた。
@"ӡe han imade him mad" (you have made him mad) 貴方は彼を気違いにしました。
A"Mi wife he wolde have forlai" (My wife he would have violate a woman) 私の妻、彼が女性を犯したであろう。
B"Þerefore ӡe shall all dai" (Therefore you shall all die)したがって貴方方皆死ななければならない。

@が、[If you had made him mad] 「もし汝が彼を狂気にしたのなら」のような現代英語の
仮定法過去完了、条件節ならば、Aは、帰結法複合形に当たり過去の事実の反対を表し、
「私の妻を彼は、暴行したであろう、・・・・・しなかった。」となり文法的には無実を認めたことになる。
しかし、Bでtherefore you shall...その結果、「彼らは死ぬであろう」と彼は有罪の思考過程を説明し判断を下した。 
皇帝の心理や姿が浮き出ていながら事件の真理はあくまでもわからないのである。
この物語で七賢人側では王子の殺害について近い未来のこととして仮定法現在を用いている。 
"ӡif þou wilt sone slo" (If you will son slay) 「もし陛下が王子を殺すならば」
マルキドラス師も第八の事例を話そうと王子の死刑執行猶予を願い出たのである。王子は直ちに
獄中に入れられた。

マルキダス師の第八物語

 二人の美しい妻と死別した老人の慣例により娶られた若い夫人は慰めのない事を苦にして
教会に行く度に母親から忠告を受けてその通りに犯行を重ねていった。 
第一回めは老人の留守中に芝生のおおう庭の美しい若木を園丁に切らせ火にくべて帰宅した老人に
"ӡhe said she dede hit for non arm," (She said she deed it for no harm,)
"But for he sscholde his bones warm." (But for he should his bones warm.)
"He hit tok on iuel strong," (He it took on evil strong,)
彼女に悪気はなく彼の冷たい骨を暖めるためにと言ったが、彼はそれを悪意に取り
癇癪強くその夜は彼女を決して良くしなかった。
翌朝の礼拝で母親は第二回めに、老人の愛する灰色の雌犬 (A gray bitch) 殺害と(a wife's complaint)妻の不満を 実行する助言を与えた。
"Was hit not long afterward" ( before long )間もなく  
ある夕炉辺に座った若い夫人は、彼女の胸に横たわった雌犬をナイフで刺し殺し、高価な衣服とリンネルを血で塗り、
"Þe lord ros and ӡede to bed." (The lord wroth and went to bed.) 領主を激怒させてベッドに行ってしまった。
"Þe more love sche ne miӡt awinne." (The more love she not might win.)
彼女はかえって愛を得られなかった。
"Þe þridde time to scherche she went" (The third time to church she went)
第三回目の契機は教会に行き確実で秘密な牧師の愛を望むと母親に訴えたことだった。
神の意であってもそれはならぬと母親は反対し、宴会の席での犯行を
"Hit sschal be don, bi Marie maid," (It shall be done, by Marie maiden,)
処女マリーの名において実行するよう諭した。
 多くの鍵(many a key)を帯に吊るし老人の後ろ(S. E.B. 版で三種の位置:back 前、between 中間、)
の椅子に座りそれをテーブル掛けに固く結び立ち上ってカップ、パン、布を落とし、主人を悲しませ
彼の城から客人達は帰って行った。
翌朝、隣人に外科医(a good baobour) を呼んで来させた主人は、
"For iuel blod was hire wiӡ inne,(For evil blood was her within,)
"Hit moste be quik ilaten out," (It must be quick leave out,)
彼女の体内に悪血が滞っているから
その血を速く流さなくてはならないと言った。
Þat ssche ne helde hire nowt so stout (That she not held her not so proud)
この二重否定文をスマートフォンの自動翻訳機は、
Google翻訳: 彼女はそれほど誇りではない。彼女は彼女を誇りに思っていない。
Weblio翻訳: 彼女は彼女をとても誇り高い状態に保った。
肯定、否定、二通りに訳してしまう。 2017年加筆

この中世物語の筋書に沿って訳すと、
それが彼女をあまりにも驕慢にしていた。
"Of hire he spoiled eurich cloþ" (Of her he unclothed each clothe.)
彼は彼女の衣服を脱がせ、
"For ӡhe never lat blod in hire liue. (For she never let bood in her life.)
彼女が今までしたことがなかった放血手術をしたのである。
《 現代英語、医学用語、 let blood, ----放血、瀉血する 》
医者は静脈を切り、
"Grete disschfolles two." (Great dishful two.) 二つの皿一杯に
血が溢れると片方の腕 (her arm)を血止めし、
"Hit helpeӡ þe nowt ,be Seint Marie" (It help you not, be Saint Marie)
助けて聖マリア! と叫ぶ彼女の他方の腕(the other arm) の静脈を切り
"Þe þird disschful vpriӡt," (The third dishful upright,) 《 upright の訳が困難、》
三つめの皿を一杯にした。
三皿分の血は三度の狂気の血であり、これ以上の罪に対しては(mad any more)
"ӡit i sschal dubble &thoren;i sore." (It I shall double your sorrow."
彼女の悲しみを2倍にすると主人は言った。
"For mine þre unwrast ded" (For my three invalid deed)
私の三つの効力の無い行いと 自認した彼女の行為は三度の悪事と三重の罰として報いられた。
"Nay, moder, by god almiӡt," (No, mother, by god allmight,)
いいえ、母様、全能の神にかけて
"I nelle neiþer louie clerk ne kniӡt." (I wish not neither love clerk nor knight.)
牧師も騎士も二つとも愛さないと訴えた娘に母親は、
"Hold þe to þine hosebounde," (Hold you to your husband,)
夫を保持するよう忠告を与えた。
皇妃の虚偽を許すならばこの老賢者のような悪運が降るというマルキダスの忠告を皇帝は、
""Par fai, maister, þat ware lawe," (Par がフランス語ならThrough faith,master, that were law,)
信頼から師よ、それは法律だと解釈して王子を牢獄に再び入れた。
 伝統的五文型による第八物語の構造型は、およそ
SV 47, SVC 1, SVO 31, SVIODO 2, SVO 0, でそれらの倒置形、VS 3, OVS 3, SVO 9, OSV 10, などとなっていて
脚韻のための倒置にもかかわらずSVO (主語、動詞、目的語)の語順の一定化が見られる。
couplet 二行連句の第一行目に目的語、付加語、修飾語を置く形とその逆の
主語、動詞が、二行目にくる場合や省略もあり、一つのまとまった意味を表す型のなかに、
自由な広がりと中世を描き出して、イギリス文学の暗黒面が予言,意志、命令などの助動詞
 will と shallの繰り返しに感じられる。
新訳ミッドランドバージョン、MIDLAND VERSIONと比較
第九物語始まり

 反復フレーズは時が流れても新鮮である。
"Þe dai is gon, and comen þe niӡt," (The day is gone, and come the night,)
その夜不機嫌な顔つきで皇妃は、媚びる者の話を信じる皇帝には金持ちのCressus クレセントの不幸な末路 が来ると物語を始めた。