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原書 THE SEVEN SAGES OF ROME (MIDLAND VERSION)

ローマ七賢物語 (ミッドランドバージョン) オックスフォード大学出版 2005

原文の解釈ノート

1486  Al that day scho fonded hyre flyght, (All that day she set about her aim,  その日一日彼女は狙いをつけていた。)
flyght: 恐らくいくつかの意味上不可欠でない語がある。 ここでは口語的な意味:  このDの言い方によれば意味は "she set about her aim, purpose” (彼女は照準、目的を定めた。)かもしれない。

1492  Of sythes scho sygkyd sore, (Many times she sighed keenly, 彼女は何度も嫌と嘆息する。)
Of は of[t] にWright博士によって校訂してあった。 (彼の版では1493行) Jill版はそのOf[t]をMED (中英語辞書)に文証された[t]のない語形に修正した。

1501  このNote:1026ですでに訳注済み

1509  That gret gyng hys wyt. (That the king became his wife, 国王は執事の妻がお似合いだ。
この行はMEDの'gangen'の見出し語でフレーズとして挙げられている。 (be with child, be pregnant, 子を宿す、身ごもる) しかしこの物語では妻は妊娠していないのでこの意味ではない。 ’Gret’は 'of high rank' 位の高いを意味するかもしれない。 古フランス語バージョンA※において 王は物語の最後に執事の妻と結婚する。 (Yグループにおいて 結局彼は彼女を領地内の一貴族に与えC版とR版では 彼は精精彼女と結婚する。 D版では彼女の運命を語らないとはいえストーリー情報は オリジナル原文にあったかもしれない。 一方この詩行が単に原型を変造してあることがある。 gret の代わりになる語彙になり得るのは the gert:意味は"compelle" (無理に・・・させる、従わせる、[古・詩] むりやり駆り立てる)  妻の胸は夫を求めているのにそれどころか執事は王と一夜を共にするよう強要する。 もしそうだとしたら1509行動詞:gyng は'to act' (行動する、演じる) 'to do' (実行する)である。

王妃の第7物語

1516-1629 Senescalcus  ('The Seneschal' 執事)

John Gower (ジョン・ガワー)は、 Senescalcus(執事)を彼の"Confessio Amantis 『恋する男の告白』Book V  向きに書き換えた。 (Dr.Jill Whitelock の研究修士論文 Denham 参照) "Seven Sages" は"Confessio" と D における物語間の近い関係を描く。 F版で『中世貴族の執事』は 唯一のストーリー"Parricida"(親殺し)に置き換えられる。 f.144 紛失のため冒頭だけが残り要約は以下のとおり。 騎士 (ナイト)には一人息子がおり 彼の金を使い果たした放蕩息子は父親殺しを計画した。 ある日彼は病気のふりをして 父に近くの森に生息するイノシシの新鮮な肉だけが 彼を治せると話した。 父親は森に出かけたが息子はそこで 他の12人の男らと共に彼を襲い八つ裂きにした。 物語は騎士の死がcity中に広がるところで中断する。

1516  In Pule was somtyme a kynge  (In Apulia,Italy was sometime a king ある時イタリアのアプーリアに王がいた。)
この個所D版はフランス語版に倣いその他の 中英語版では王はPuile と Calabre 両国を統治する。 Campbell博士の発言 「地理的にほぼ一致しているApulia と Calabria は中世物語ではしばしばひっくるめて語られた。」 (Seven Sages P.165 note to 1 I.1619) Puile は第14物語'Inclusa'(幽閉妻)のためのlocation :(場所)でもある。

1517  That hatyd wymmen of alle thyng; (That hated women of all thing, 選りに選って女嫌いだった。)
A版とB版はフランス語版に倣い王が男色を好むことに触れて たとえそうでもA版の写字生はsodomiӡte(sodomy) という語を誤解したか so do miӡte と書いてカムフラージュしようと試みた。
A版1553-4
Wimmen he louede swiþe lite, (Women he loved greatly vice, 女性達を彼は愛してやまなかった不徳、)
And usede sinne sodmiӡte   (And used sin of sodomy  そして男色という罪を犯した。MS は so do miӡte  so do might :精一杯と記述)
『Ar版とE版は、それぞれ王が女性を愛しているあるいは 女性に大きな喜びを感じていると勘違いしていた。DeepL 機械翻訳

1526   Into Salner he sent a man (Into Salerno ,Italy he sent a man  イタリアのサレルノへ彼は使者を送った。 )
Salerno(現代の地名サレルノ:イタリア共和国カンバニア州にある都市)へ参照できる Salner はD版の独自性である。

1538  When herde thys thythyng (When heard this tidings,(news) この知らせを聞いた時、) 主語代名詞の非発現(non-expression)の他の例である。 (Note 218 参照) Wright博士は代名詞heを補った。:  When [he] herde thys thythyng. (彼がこの通知を聞いた時)

1539   Thane comfordede the king. (Then took comfort the king. その時王は慰めを得た。)
comfordedeは変形: OED(オックスフォード英語辞典)には自動詞としての 'comforten'の用例なない。 しかしOEDは自動詞の語形に'to take comfort'(慰めを得る)の 稀な定義を含める。 唯一の例を挙げるとしても後の時代のものである。 "Shakespeare" シェイクスピアの『お気に召すまま』II.vi. 5 :から: "Live a little, comfort a little, cheere thy selfe a little, " 『少し生きなさい、少し慰める、少し元気を出して、』

1541   And made hys medicyne wille, (And made his medicine well,  十分に彼の薬を調合した。)
医者は彼に大麦パンと湧水を与える。 これはA版、Ar版でもE版でも同じである。 湧き水とは記されていないが(A版は大麦湯と書く。) B版、C版、R版はこれらの薬について言及してない。 全てのYグループ原文において 医師は王の腫れた体に膏薬も湿布する。

1554-7 
4行の和訳: 健康でバラ色(rose ローズを帯びた顔色をした美しい女性/ 夜私とセックスするために/ そして彼女は高貴な生まれであること/ しかも若い女性であること/
D版のみが王は趣味の問題として 女性のタイプを指定する。

1563   With gold and siluer thow schal thaym tylle; (With gold and silver you shall them entice or persuade; 金と銀とでお前は彼らを誘ってみてくれ、or 説得してみてくれ; )
B版において執事自らが賄賂を提案する。

1570-74 
5行の和訳: そして聖ベネディクトによりてと言った。/ 今宵貴女は王様の傍らに臥していなさい。/ 金と銀を貴女は獲得するだろう。/ しかも貴女の罪は赦される。/ 確かに貴方と妻は言った。/
1573 "Now thow louest lytil my life. (Now you love little my life, 今から貴方は私のlittle な人生を愛する。 (littleの訳?, 上記のシェイクスピアの例文は a little 少し: なので  a のない littleは何と訳すのか??))
執事と彼の妻の場面は他のバージョンの方が長い。 妻は初めのうちは抗議したが結局夫の意志に服従することになる。

1579-89 
11行の和訳; 執事が言った。私は目標を達成したと。/ 私は貴婦人を得た。/ 彼女は多額の金を手にするだろうが/ それには彼女は部屋を暗くしてほしいと望んだ。/ 彼女はどんな男にも見られたくない。/ 誓ってと王は申した。/ 部屋の各々の松明を消してくれ。/ 彼は一つ一つ消させた。/ そして直ちに彼の妻の手を取り連れて行き/ それから彼女を王とのベッドに誘った。/
フランス語版に倣うD版は 執事と王のやり取りの中で執事が寝室を暗くしてほしいと頼む箇所において 仏版と似た文字が書き込まれているにちがいない。 他の中英語版はこの場面を要約して対話を省略する。 D版(多分C版もR版も)が省いた古フランス語バージョンA※の詳細は 執事が王の召使の部屋を掃除していることである。

1590-3
Til a myl, byfor the day. (Till the time spent in walking a mile. 1マイル歩くのに費やした時間まで)
All nyght scho sykkyd and sorow made, (All night she sighed and sorrow made  一晩中彼女は嘆息して悲しみを作った。)
The king no myghte hyre nothyng glade (The king might not her nothing gladden  『王or彼女は何も喜ばないかもしれない。DeepL 機械翻訳
D版においてのみ妻は嘆いていた。 他の古フランス語バージョンでは淡々と語られた。 li rois jut avec la dame ( lit roi joui ace la dame 、 ベッド、王、快楽を得る、その夫人と)
これらの詩行は他の版の初稿で強調されていた執事の苦悩を描写していたものに手を加え 改作したのかもしれない。
比較C版1764  To þe kings chamber he take þe wai. 『彼は王様の部屋に参りました。金子健二博士訳
 いずれにしてもこの詩の他の箇所で皇后の特徴を描写するために使われた対句と 酷似している。

第2物語の例: 904-5:
Myghte no man the lady glade (誰も淑女を喜ばせることは出来ない。)
Scho syghyd and sory semlant made  (彼女はため息をつき『哀しみの色を浮かべた。DeepL 機械翻訳)
第8物語の例: 1854-5:
Scho syghyd and sory chere made (彼女はため息をつき悲しげな顔を装った。)
Myght hyr that day no man glade (その日彼女を元気づける人はいなかった。)

1597  Thow must that lady ryse: (You must that lady get out of bed: 貴方はその夫人をベッドから起き上がらせなくちゃならない。)
この行は文脈から "Thow most [make] that lady ryse,(You must [make] that lady rise )  主語 + 使役動詞 make + 目的語 + 原形不定詞 ・・・として理解できる。
しかしMED(中英語辞書)は risen(rise: 立ち上がる、起き上がる)の語法が 時によると reisen(raise: 起こす、立たせる or rouse:『人を特に深い眠りから目覚めさせる。ジーニアス英和辞典) 眠っている誰かを目を覚ませと起こす意味で用いられると解説する。 従って別の読み方はただ単に "You must rouse that lady [from sleep]" (貴方はその夫人を眠りから目をさまさせる、起こさなければならない。)となるだろう。

1598-9
Quod the King,"By Saynt Ion, (王は申しました、聖ヨハネ(聖使途イオアン)に誓って)/  ӡyt no schal scho nouӡt gon!" (『それはない! 彼女は行ってはならない。』)/
D版は古フランス語バージョンA※に即して忠実に中英語に翻訳して王が妻をもっと より長く保っていたいと主張している。 この時点でその他の中英語バージョンにおいては 執事が王にその女は彼の妻だと言う。 D版においては王当人が彼女は執事の妻だとわかる。

1607  Who made the do thys dyde? (Who made you this behavior?  誰がこんなことをさせたのか?
ひょっとするとD版のこの箇所から数行抜けているかもしれない。他の全版において 執事は王に金のためにやったと言って答える。

1611  Thow schalt be angyd and todrawe! (You shall be hanged and dismembered!  貴方は絞首刑に処されバラバラ殺人となるだろう。
B版は王の脅しに対して最も猟奇的な代わりの方策を提供する。 執事は町の外に連れ出され裸で柱に縛られ 溶けた銀と鉛を口に注ぎ込むことを以て殺された。 (第9物語の皇帝Crassusの死に彷彿たり)

1622-4  3行の和訳: 確かに皇帝陛下も恐らくそうして/ 『なぜなら、あなた方の偽りの物語を欲しがっているからです。 DeepL機械翻訳』/ あなた方の偽学者が語る。/ ここで D版は古フランス語と呼応する。 "vous etes si couvoiteus(現代英語:covetousness 欲張りな) de oir les paroles à ces sages."

1647   Withouten [any] proses of lawe, (Without [any] process law, 法の手続きなしに。) このフレーズは下記のように他の所にanyをともなってある。
Withouten any proses of lawe  (533, 1871, 2075行)/ Withouten any prossesse of lawe (2118)
1647行
の[any]は他の例文と合致させるために補っている。 (anyは特に日本語に訳す必要はない。)

マラダスの第8物語

F版ではアンシラス師の話す第4物語

1676-1847  Tentamina ('The Trials' 試み)

1676-7
Hyt was a man of olde lyfe, (It was a man of old age, それは老人の男だった。)
And hadde ӡong womman to wyfe,  (And had a young woman to wife,   そして若い女性を妻に迎えた。)
F版は、老人には若い妻がいたと簡潔に述べる点でD版に似通う。 古フランス語バージョンでは 老人の友人達が彼に妻を娶るように忠告したので 彼は自分で若く美しい金髪の女を物にする。 他のYグループ原文では その男は若かりし頃2度結婚していた。 しかし老いてから彼の下僕たちが 彼に若い女性を妻にしなさいと助言する。

1681  Sche bygan to loue a clerke. (She began to love a who is educated,or a learned person. 彼女は有識者を愛し始めた。)
他の原文にはこの行が含まれていない。 後ろのページで町の司祭(牧師)に狙いを定めていたと妻が打ち明ける 直接話法の詩行を読むことになる。 F版において彼女は母親に物語の始まり17行目あたりで 牧師が彼女に求愛していたと語る。 There ys a preest yn þis town besechyth me, (There is a priest in this town beseech me, この町に私を求める司祭がいる。) 騎士達だと情事を秘密にできないので 彼女は騎士を恋人にするつもりはないと言い添えながら。