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原書 THE SEVEN SAGES OF ROME (MIDLAND VERSION)

ローマ七賢物語 (ミッドランドバージョン) オックスフォード大学出版 2005

原文の解釈ノート

495-6   Here he walde haue strangyl me, (Hear he would have stragled me, 彼は私を絞め殺そうとしたのです。
Or he walde haue lyen my by (After he would have lain (古、lien) by me 彼が私の側に横たわってから
潜在的絞殺または強姦の告発: 古フランス語バージョンA※、中英語A,B版。 潜在的レイプの告発: 中英語E版。 殺人: 中期英語C,R版, 皇妃は王子は自分の意のままにして彼女を殺しただろうと言っている。 (C版550行)
F版では彼女は実際に彼がレイプしたと言っている。
F版388-9
Thys thefe hath done me velonye (This villain has done me violence   この悪人は私に暴力を振るいました。
In my chaunbur he hath leyn me bye  (In my chamber he has lain by me 私の部屋で彼は私の傍で横たわっていました。
 Geraldine Barnes (シドニー大学、ジェラルディン・バーンズ名誉教授) は、七賢物語の王子と'Floris and Blanchfleur'(フロリスとブランシュフルール、オーキンレック写本で七賢物語に続く作品)のフロリスとの間の類似を注釈します。: 両者とも性的タブーを破ったとして告発されている。 (フロリスの場合、首長が結婚を考えている貞淑なブランシュフルールと寝ていた。 バーンズ著”Counsel and Strategy P.116 )
同様に、”Bevis and Hampton(ハンプトンのベビス、or ビービスデハントン、 ケンブリッジ大学図書館、MS Ff.2.38 の七賢物語の前の作品 )においてもベビスが アルメニア王の娘のジョジアンの処女性を奪ったという濡れ衣を着せられるが ジョジアンがベビスを誘惑しようとする様子は、七賢物語序章における皇妃の継子への口説きと パラレルである。二つの物語にはさらに共通点がある。両方とも彼らの相続にかかる問題である。 (どちらも邪悪な母親の姿ー 七賢物語では王子の継母、 ハンプトンとべビスでは主人公の実母、 ー彼女達は主人公に遺産を与えぬようにと企てた。 そしてどちらも彼のマスター達 (王子の七賢人とベビスの先生のセイバー(Saber)に救われる。

506-7
I schal neuere hete brede  (I shall never eat bread  私は決してパンを食べません。
Here the thyfe traytour be dede! (Untill a duplicitous person is dead! 二心を抱く表裏者が死ぬまで!)
中英語の一般的な言い回しのバリエーション: as ever I ete bred, (相変わらずパンを食べる、)は、"as I live" (生きている限り)を意味し皇帝はこのフレーズを再び使う。
1632-3
I nyll tomorwen ete no brede (I will not tomorrow eat any bread 私は明日からパンを食べません。)
Er the thef traytour be ded. (Before a liar be dead. 嘘つきが死んでしまう前に。)

Cf.ジェフリー・チョーサーの叙事詩「トロイラスとクリセイド」1380年 (Chaucer ,"Troilus and Criseyde, Book II, I.444を参照せよ)
Fro this forth shal nevere eten bred (From this forth shall never eat bread  この先パンを決して食べません。)
Til I myn owen herte blood may see   (Till I my own heart blood may see  私は自分の心臓の血を見るまで)

528  Erlys and barrons in the halle (Earls and barons in the hall  大広間の伯爵たちと男爵達
中英語F版では王子の命を救うのは執事だった。

583   As dyde the fyne appul-tre: (As deed the fine apple-tree; 見事なリンゴの木のように)
他のバージョンでは松の木。 C版とE版ではそれぞれ pine-appel, pyne-appel tre 、 松林檎の木という言葉が使われている。 C版612: Als it did þe pine-appel tre (As it did the pine-appel tree 松林檎の木のように)  もしもC版の言葉がD版を書く人の情報源であったら fyne(pyneのpをf と筆記した) -appul -tre への変更は誤写か誤解であると説明できるかもしれない。
A,E,B版ではthe pine tree (松の木)だけでなくapple trees (林檎の木)(and pears) (とセイヨウナシの木)もある。 現代英語pineapple:パイナップル『★松かさに似ているところから』

582-5  (3行の和訳:そのうえ陛下にも降りかかるかもしれません。 見事なりんごの木のように。傍らに枝が伸びていたからです。) D版の皇后は彼女の前口上でストーリーの続きを他のバージョンよりも明かす。 皇帝をなびかせるこの戦略は七賢物語詩の他の箇所で繰りかえされている。 皇后の物語の前と同様に七賢人の物語の前でも彼らがそれぞれが前口上を 述べる。F版はこの点で"Tentamina"(第8物語マラダス師の試練) と"Avis"(第10物語カトンの鳥)両ストーリの兆しを D版に追う。

586  quod Emperour (siad Emperor 皇帝は言いました。)
定冠詞theがないのは初期テキストの状態では(quoth's Emperor)という省略形を示唆している。そして スペルが違うにもかかわらずこのようにDの写字生の行をまだ読める。 (定冠詞を入れるのが彼のいつもの習慣なのに。)
712:quod Emperour,  1496: quod Emperese tho,  2389: Quod Emperour, 2766: Quod Marcius, これらすべての発生ラインは Wright, Thomas, 1810-1877(D版の校訂者)によってquod [the]に訂正された。

 皇妃の第1物語 592-643    Arbr ('Tree' 木)
Fyrst Talle (First Tale  第1物語)の見出しと それに続く全表題は写字生が左余白に書いたものである。

594  As men sayen, hit was a knyӡt, (As men speak, it was a knight,  人々が言うところによればナイトだったそうです。)
古フランス語バージョンA※:borjois (06.001) 現代フランス語:bourgeois [古]貴族に対する平民、商人階級
中英語Yグループ: a burgess [古]市民、自治都市市民
C,R版: a man of great renown 非常に有名な人
この後F版を除くオールバージョンにおいて市民は商用で家を留守にし 家路につくと古い木の根から若木が生まれたのをふと見つけた。

603 tree see : 304行の項で原型不定詞例として訳注済

609  And sawe hym crokyn a lytil wyght; (And saw it taking a crooked form or direction a certain amount; ある程度の枝が奇形で曲がった方向に伸びているのを見ました。 ) 中性代名詞hymは枝を指しこの中性代名詞はりんごの木の枝を指す個所にまた使われる。
611  Lettyde hym that he myӡt nout the.(Obstructed it that she might not thrive. 小枝が成長しないようにそれを妨げたのかもしれない。)
633 For the braunche that of hym sprong.(For the branch that of it grew from.  その枝はその己が枝から伸びたものだから。)

611行のLettyde(let) について。 (上記の意味は'obstructed' 妨害する)
次の例のletは('allow,allowed -に--することを許す)
615 And latte the branche haue rome ynow. (And allowed the branch to have space enough. そして枝に十分なスペースを与えた。)
622 Thay lette the ӡonge branche sprede, (They allowed the young branch to spread, 若枝が広がるようにした。)
次の例のletは('caused something to be done' 人・物に--するようにさせる。)
618 Thus he lette norische the ӡong. (Thus he caused to nourish the young. こうして若木を育てる。)
620 And of hold he lete hewe  (And of the old he caused to hew. だから彼は古い枝を切った。)
D版はこれらletの間にかなりの言葉遊び(同音異義語等)がある点でユニークである。

623  And The holde tre bygan to dede. (And the old tree began to die 老木は枯れ始めました。)
珍しい形。MED(中期英語辞書)は他の例を一つだけあげている。

636-41  (6行の和訳: このように新芽は枝でしょう。貴方に対して不当な態度をとろうとする、 そして四方の枝を切り、それこそがそれほどまでに広がった貴方の勢力なのです。 こうして彼は大胆になりはじめると、彼は老齢の貴方を倒します。)
D版の皇后は象徴性を維持したままより遠回しに(NOTEの英単語:obliquelyは[植物]では 葉など不等辺の、形のゆがんだの意味)道徳を適用している。
比較例  (A版の和訳: 神様、優しく自由です。 この老木は貴方を指すものです。 若木は貴方の息子に相当しています。それは 貴方の血を分けて生まれてきた王子。 彼は直ぐに引き寄せるでしょう。 それで師達と貴方は彼の僕となるのです。)

家系図に描かれる樹木は"The Book of Simãs"王の夢でのような東洋の作品に見られる。 Becher "Diffusion" pp.46 53; Perry "Origin" pp.29-30 or "The Book of Sindbãd" のペルシャ語版の最後で 王が息子のために退位を選ぶ時七賢物語中英語版arbor, treeの男が若い木が繁茂するように 古木を切り倒すのと同様に。(以下引用訳注 「貴方の息子という立派な後継者がいることを神に感謝する。 貴方の昼と夜は終わった。今日という日。 時が干からびさせた木、それが身を結ぶのなら素晴らしいことだ。 柳の枝が朽ちるとき誰が柳に日陰を求めるだろうか? 貴方の息子が貴方の後を継ぎ地上に 貴方の名を残すこと以上に貴方にとって良いことがあるだろうか。」 (Clouston, Sindibad, P.117)

662-3
The childe was aferde to dee, (The child was afraid to die, 子供は死ぬのを恐れていた、)
A kast on hym a ruful hye. (A(he) cast on hym a rueful eye. 彼は彼(バンシラス師)を残念な目でちらりと見た。
この子供の感情に対する洞察はD版に特有なものである。
類例:556-7
Now his the childe t[o] prison brouӡt (Now is the child brought to prison: 今や彼は監獄に連れて来られ)
Mykile sorowe was in hys thout (Much sorrow was in his thought   多くの悲しみが彼の思考に持続していました。)

663行のA を無強勢の代名詞(ここではhe)として注解する。 Langland(ラングランド)やTrevisa(トレビザ) のような南西ミッドランドの他の作家達にも共通する。 あるいはD版の他の箇所で使われている弱い形の”and"と読むこともできる。

670-671  That thow art in wille pytte ( That you are determined,or resolved  陛下が決心なさったのは)
To sle thy sone withouten gylte.'(To kill your son without guilt.or innocent. ギルティ無罪と言わなかった王子を死刑にする事。)
同韻語gylteが示すのはpytteのオリジナルはpylteだったはずであり D版の写字生はこの語形 (MED中期英語辞書は主に南西ミッドランド、サウスウエスト、Dのオリジナル方言地方として引用) にこなれていなかった。
この写字生がさらにpylteputeに取り替えていると思われる詩行もある。
3121  Of thyng that hys oppon me pute; (Of thing that is imputed to me; 私のせいにされた出来事のうち;)
3378 Than he that was in the see pute; (Than he that was thrust in the see; 海に突き落とされた彼よりも)

685   He schal dee, sy[cur]lyche, (He shall die, certainly, きっと彼を殺す、)
ライト博士はこれをsyrtnlycheと翻訳して写したが どうもsyrculycheであるらしく、sycurlycheに対するエラーではないか。 この語(certainly, truly, without fail...確かに、本当に、必ず、等を意味する中期英単語)は写字生を悩ますことになった。
参照note734  Ther was nothing sycurliche  (There was nothing certainly 確かに何もなかった。)
MED(中期英語辞書)でsycurlicheをリストしてあるけれども それが誤った形で載っている故の校訂。
参照2491 Bote thare scho wolde be sykyrlyche (But there she would be without fail  しかし彼女は必ずそこにいる。) sykyrlycheのkはrに書き直されていた。(syr-----Dr.Wright)
参照846  "Sire", ho sayed,'Sycurlyche, ("Sir", he said,"certainly, or truly" 陛下、彼は言った、」「確かに。」) ジル博士はこの846に照らして校訂した。

686   And ӡe also, by Good in heuene,(また貴方も天の神によって)
God をGood と綴る異色な使用例
989 Thow wylt by gyllyd, by Good in heuen! (陛下は惑わされるでしょう、天の神によって。)  1440 By Good that hys ful of myght,(力溢れる神によって)  2133 Or, by Good that allewrought,(すべてを作り出した神によって) 2231 He lyed, by Good that alle hase wrought-(メスオウムは嘘をついた、『すべては神によってもたらされた。DeepL 機械翻訳』 神によって全ての人が犯してしまった。すなわちオウムが殺される結果を招いてしまった。[古英語:workには非行、犯罪などを犯すという意味のあった。"I wrought a murder in dream"『夢の中で人殺しをした。』 研究社 新英和大辞典参照訳])
この形のGood は中期英語辞書に記録されていない。

701 Aste the ; Wright博士(1810-1877)は このAste を Afte と書き間違えてしまった。 そしてそれが後のMED(中期英語辞書)にafterと推測的に定義された。(asteはafterの一例となった。)

バンシラス師の第2物語   726-893  Cais ('The Dog')

 後期の書き手は物語番号(2d)と記して 賢人の名前バンシラス('Bancillas')は表題の余白にある。 この慣用はさまざまな物語の写本を通して続いている。 (ラテン語 nouercae: 『日本語:義母』 は皇后の物語を示すために書かれている。 他のバージョンでは騎士に言及する前に 馬上槍試合の詳細から始まる。注釈すべきは Cnis(The Dog,犬)がF版においては 8番目の物語であることそして Puteus(The Well, 井戸 D版第6物語)が2番目で物語の最後だけ現存していることである。

732  And ӡonge hagge hit was. (And young age it was. 幼少のみぎり) たぶんageの異綴り。MEDリスト なしだが誤った語形として載っているので校訂。

734 684を参照訳注。