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2023年 翻訳中です。notes6


原書 THE SEVEN SAGES OF ROME (MIDLAND VERSION)

ローマ七賢物語 (ミッドランドバージョン) オックスフォード大学出版 2005

原文の解釈ノート

744  Knyght ordaynde a day (Knight appointed a day ナイトは馬上槍試合の日取りを決めた。) ライト博士は、[The] knyght ordaynde a dayそのナイトは々)と校訂したが、 定冠詞のないKnyghtは単にzero-ending: ゼロ形態素の複数形であるかもしれない。 (Knyght の複数形は knyght である。:形態素とは、book複数形booksのs, mouse複数形 miceの母音変化 etc. ゼロ形態素とは、deer複数形deer, cut過去形cut etc. 『研究社 新英和大辞典 zeroより』 ) E版においてはナイトが馬上槍試合を準備した。(BrunnerP.214, note to 1. 703, D版もこのように解釈する。) 他の中英語版と古フランス語バージョンAでは馬上槍試合はたまたま近くに住んでいたナイトによって手配されたのではない。 Knightには[The]を付けない方がどうも 次の748-9 の意味がより理解しやすくなるようだ。
The Knyght of hit [herde] tell (The knihgt heard of it tell そのナイトはそのことを話すのを聞いた。)
In his felde thay wolde dwelle;  (In jhis field for jousting they would dwell; 彼らは馬上槍試合には野原に居る。)
ライト博士もD版をこのように修正したが、 これは彼の744の修正と矛盾している。 もし[The] knight:そのナイトが(グレーハウンドを飼っている)彼自身で馬上槍試合を手配したのならば The knight :彼は彼の牧草地でそれが開催される予定だったことをまた聞きする必要はなかっただろう。

754  Saue the childs norises two; (two nurses protect the child; 二人の育児婦が子供を守る
他の版では3人のナースである。 彼らは物語の序盤に登場しそれぞれの任務が詳述されている。 例えばA版は子供について書いている。
中期英語A版:和訳のみ; 3人の子守を置いていた。第一の乳母は乳飲み子に乳を与え、 第二のナースは乳児を沐浴させたり、適当な時を見計らって 遅く早く、第三のナースは赤ん坊の衣類やシーツを洗濯したり、 子供を優しく静かに眠らせた。
 As版(中期スコットランド語バージョン)はたった一人の乳母である。 Welsh版(ウェールズ語バージョン)、 Dolopathos(ドロパトス物語)、 Sindbãd(シンディバード物語バージョン) においてはナースについての言及は一切ない。

762  In a toure thay clymbyd on hyghe, (In a tower they climbed on high,塔に行き彼女達は高い所に登った。) これはフランス語をおうむ返しに繰り返している。
les norrices ...monterent aus creniaus du mur par les degrez (09.011) (les nourrice montent au créneau du mur par {les} degrés  乳母たちは次第に壁の矢面に立つ(D版訳の塔の上に)
 中英語YグループのうちでC版とR版は乳母たちのVantage-point (見晴らしの利、地の利、或いは立場)を表しC版: a preue place bisyde (to privy place beside 『秘密の場所へ。 金子健二博士訳』)のような遠回し的なものである。

763  Pryuylice tha no man see. (Carefully with the purpose that no man see.誰にも見られないように注意深く。
Thomas Wright博士(1810-1877)はthaを tha[t]と校訂した。(and at all )そして下記のthaは絶対的にthatと修正した。 (16行目の"Tha the child----”は全然校訂してない。(though not at l.16))
修正行 tha 原文
1291  To do tha[t] the Emperour bade;  皇帝が命令したことをするために
1698 Tha[t] in a fayr herber stood,  その木は美しい庭園に立っていた。
2794 Tha[t] hym thout withine a [þ]rowe, 彼が短期間のうちに密かに考えたのは、
3429 Tha[t] holpyn to saue hys sone on lyue  息子を助けて命を救った。

767  An olde toure that seruyd of nouӡt, (An old tower that was of no use, 『使い物にならない( DeepL機械翻訳)』 古い塔、)  他の版では乳母が子供を置いたそばの壁にクサリヘビが住んでいた。

772  Trumpe, tabur, and melodye, (Trumpet, tabor, and melody, トランペット、小太鼓、そしてメロディー、 ) Dは音楽に言及した唯一のバージョンである。

778  And drow hym toward the credile ӡerbyne (And drew himself toward the cradle therein  そしてその場所に向いて 揺りかごに身を引き寄せて行った。
クサリヘビの文法上の性別の混乱がある。 (E, B版も混沌、A版は雌蛇、C版とR版は雄蛇。) schoが, 775-7行で使用されている。 この778行目hymは再帰代名詞(himself)だが he790行目に現れる。 (それは当然'he'でも'she'でもあり得る。)

775-7
Till scho come out of the walle. 彼女が壁の外に出るまで。 Out of the walle scho came,  壁から彼女は出てきた。 Into the halle the way scho name,  広間に彼女は向かった。
790  Toward the credyl as he suythe 揺りかご目掛けて彼は這って進んだ。
オリジナルはおそらく'he'が'he'であろう。 775-7においてD写字生はこれを'she'として誤読したので 彼の好みの形schoに置き換えてからその筆写ぺンが778行目hym に来た時彼の間違いを自覚する。 したがって写字生Dは、それに続く780行he を変更せずにheのままで書写したのだが前行の彼の誤りをわざわざ正そうとしなかった。 オリジナルの他の詩行でheは'she'に常用された(he=she)確かな形跡。 (故にこの写字生の誤読)が以下の行に見つかる。そこでは写字生によってheが修正されずに残っている。
827  Tho he segh hir noris flee, (Then she saw her nurse retreat, その時彼女は彼女の乳母たちが塔からお邸へ戻るのを見た。

下記のheはすべてshe
1703   On of hyr men hyr he nam, 彼女の召使のうちの一人を彼女は連れて、
1704  And to the hymp sone he cam, そしてすぐ彼女は若木の下に来た。
1721  And to the modir sone he cam. そして母親の座席に直ちに彼女はやって来た。 
1739  A gret schrewnes he dude. 『彼女は大きな悪事を働いた。DeepL機械翻訳』
1759  And to hir modir sone he cam,  そして彼女の母親のところにすぐ彼女は来た。
1782  And at hir moder leue he nam; 『そして彼女は母を見送った。 DeepL機械翻訳』

D版においては hosheである行も見いだせる。
472: About hys neke hyre armees ho layed. 彼女は彼の首の腕を回した。
491: A grete scryke vp ho nam.  彼女は大きな悲鳴を上げた。
568: How ho brought hire lorde in will  どうやって彼女は彼女の夫(皇帝)を 意のままにと煽動したのか。

788  As thay foghten ,here ӡe moun, (As they fought, you will hear,  彼らが戦ったように貴方は聞くがよい。) この押印する紋切り型引用語句と聞き手への呼びかけは共通して他の場所でも発生する。

下記は、as you will hear あなたが聞くようにの例
457: And ful euyly, as ӡe mowe hyre. そしてとても邪悪に、あなたが聞くように。
1340: The wyf aros, as ӡe moun here 妻は起床した、   々
2645: The Emperesse, as ӡe mowe here.   皇后、     々
 問題の聴衆が皇帝でありひいては宮廷である場合詩全体の語り部によってまた七賢人の枠物語では 七賢人によって"as you will hear"が使われる。 D版は直接このことに言及してはいないけれども。 七賢人達は時々皇帝のみへの挨拶"Sire," ーーーーを添えて彼らの物語を始める。 1674:"Sire," quod Maystir Maladas, 2467: He sayed ,"Sir, Emperour iwys,

しかし、王子の物語「予言」は宮廷全体に明瞭に語られたものでしかない。
3132-3: And thay sytyn stille ilke mane, そして彼らは各々が静かに座った。  And the child began his tale.  そして彼の物語を始めた。

792  Hyt no woke, no hyt no wyppe, (It no woke, no it no wept, 目を覚まさない、泣きもしない、
793 Bote [lay] alle stille and sleppe. (But [lay] all quietly and slept. 全く静かに横たわり眠っていた。
 他の版では子供は怪我をしなかったとしか書かれていない。
793の校訂[lay]は写本にない文字であるが、 Dは睡眠(sleep)について説明するときは他の箇所でも動詞layを用いるので推量的に補った。以下は 比較行:
980: And lay slepyng stille as stoon. (And lay sleeping silent as stone. (イノシシは横たわり石のように静かに眠っている。)
2745: Thay felle on slepe and lay stille. (They fell on slepe and lay. 彼らは眠りについて静かに横たわった。)
MED中英語辞書により示唆された他の可能性は stille は stilde "was silent" (黙っていた)の誤りである。

795  That into the ӡera the worme flyghe: (That into the yard the snake fled: 蛇は庭に逃げ込んだ。)  他のバージョンにはない。

797  That he slew hym at the last.(最後に蛇は彼を殺した。) 他の版では戦いはもっと血生臭い。 古フランス語バージョン、中英語A,E,B版ではグレーハウンドは揺り籠の上で血を流し そしてどれもがクサリヘビが八つ裂きにされたと物語る。

801  And forsothe he lay and ӡal. (And truly he lay and cried in pain.  そして彼は横に倒れて痛みに泣いた) この犬の吠える描写は古フランス語バージョンにもあるが中英語版にはない。

805  Thay fande the grewhond lye and ӡelle, (They found greyhound lay and cry, 彼らはグレーハウンドが横たわり 大声で吠えているのを見つけた。)  その他バージョンでは乳母はグレーハウンドよりむしろまず初めに揺り籠を見つける。

808  Thay two norise was were and seghe (Those two nurses was watchful(cautious) and saw  その2人の乳母達は注意深く(用心して) 見た。)  Dは時々複数名詞が数字(この場合2人の)で控えめに修飾されると単数形の動詞を用いる。

812-9  (8行の和訳: 「友よ。」彼女は言った、「私の血統に誓って、/このグレーハウンドは気が狂っている、/それで子供は食われちゃったのさ、 / 嗚呼私が生まれてからずっと。」/もう一人の乳母が言った。/「全く、確かに、本当に。/ 嗚呼ちょうどその時。」彼女は言った。/ 「私たちは馬上槍試合を見に行った。」)
 D版の編集人はまたもや直接話法を使う傾向を自ずと漏らす。 (古フランス語バージョンAには少しあるがその他の中英語版には無い。)

814 And has eten the chide therfore (And has eaten the child therefore  だからその子を食べてしまった。
フランス語バージョンは mengié (10,o16) 現代フランス語の単語はmanger (英語:eat)
B版は、gnawe (I.779) Mod.E. gnaw の意味はかむ、かじる、:  その他中英語版はグレーハウンドが子供を(must have slain)殺害したに違いないと書いてある。

822-98行の和訳: 彼女達が馬上槍試合のフィールドに向かう人の流れの中にいるのを見たとき/ 夫人は横たわって注視していた。/ そして彼女の心は冷ややかになり始めた/ 夫人の内心は直ぐに/ もしかすると何だろうといぶかった/ その時彼女はナース達が逃げるのを見た。/ それで田舎の若者(牧夫)を呼び出し/ ナースたちを屋敷に連れ戻して来るように彼に命令した。/ )

夫人は乳母達が逃走しているのを見て田舎出の男子(a swain)に彼女達を追わせるという展開は D版唯一である。 古フランス語バージョンA※、中英語版A,E,B において 乳母達が逃げまどっている時に夫人は彼女達と遭遇する。 中英語版C,Rにおいてナース達が揺り籠を発見した時夫人は彼女達と一緒に 邸の広間にいた。

838-9  (2行の和訳: 夫人は非常に悲しんだ、/そして泣き出した。「嗚呼!」 )  その他のバージョンにおいて夫人は卒倒する。

840  D版はthe knight(騎士)が妻の叫び声によって 警告される唯一のバージョンである。その他のバージョンにおいてはとにかく この邸の主が家に帰って来る様子を描く。

849  And has eten hym flesche and blood!" (And has eaten him flesh and blood! そして幼子の血肉を食べた。) その他の中英語版において 夫人はもし彼女の夫がグレーハウンドを殺さなければ自殺すると言う。

855-6   And sete bothe hys fete on hyghe (And set both his feet up high  そして彼の両足を高く上げ
Oppon hys brest to make solas-(On his breast to make rejoice-  彼の胸に喜ばせるためにー
Cf. 古フランス語バージョンA※その箇所グレーハウンドは、 "mist les deus piez devant en mi le piz (11.007) (met les deux pies devant aux pieds de moi, 両足を私の足元に置いた。 (le pizの意味?片足?))
中英語A版、同様にEとB版で "him welcomed wiӡ fot and tail (I.799) (him well pleased with foot and tail 犬は騎士の帰りを足と尻尾で喜んで迎えた。
CとR版においてグレーハウンドは蛇の毒のせいで彼方此方と走りめぐって吠えている。 しかし帰宅した時には "He fawned his lord fast with his tail (883)" 『彼は己が主人に尾を振って媚びました。金子健二訳

859  And smot out the rygge-boon. (And smote out the backbone (spine). そして背骨(脊柱)を打ち抜いた。)
A,C,R版においても同様である。 フランス語原典において騎士はグレーハウンドを切り捨てる。 EとB版は単にナイトは彼の剣でグレーハウンドを殺したと書いてある。

877  That the grewhond hadde todrawe. (That the greyhound had drawn apart. グレーハウンドが引き離して(蛇を)ばらばらにした。) この点について その他の中期英語バージョンでは 何が起こったのかを知らせるためにその他の従者達を呼び出す前に ナイトは反フェミニズムの短い発言をする。 C版例(900-3):『彼は申しました、「かういう事をする者に悲しみが来るんだ。/ 然もそれが直ぐ〇面に来るんだ(〇は読めない旧漢字:英語sale)/ 然も婦人の物語を信じるやうな者には/ 彼は申しました、「嗚呼、何故と申して私自身はそのやうなことを致しましたのだから」  金子健二博士訳』