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原書 THE SEVEN SAGES OF ROME (MIDLAND VERSION)

ローマ七賢物語 (ミッドランドバージョン) オックスフォード大学出版 2005

原文の解釈ノート

アンシラスの第4物語

1046-1163 Medicus ('The physician' 医者).

 F版においてMedicusは第12物語。断片物の最後の章;第4物語はTentamina('The trials, 試行).

1046  A nobile fysysian thar was, (A able physician there was, 有能な医者がいた。) 他のどの中英語版でもこの古フランス語の fysysianという名詞を使わず古英語lecheを用いて例えば A版、1004行: Of leche craft was non his pere, (Of leech(古英語、詩語) craft was none his peer, 医師としての技量は右に出る者がいなかった。)と言っている。

1049  That longe walde leren no goode, (That during long time would gain knowledge no good. 『長い間何の役にも立たない知識を得ることになる。翻訳ツールDeepL日本語』)
D版は甥を無能な若者として描くことで他のバージョンと異なっている。 彼は叔父の本から医学を独学して心変わりに耐え忍ぶ。 一方Yグループのイポクラスは甥に教えたくないのだろう。 (Yグループにおいて彼は甥にちょっと教えたので子供は独学しない。 しかし彼の弟子が彼を賢明にも追い越していったのを見た時教えるのをやめた。) それで子供は独力で勉強する。 Campbell(キャンベル博士)の所見によれば D版の子供のうわべの鈍さは古代中世物語の伝統的手法 'Perceval'(アーサー王伝説に登場する聖杯を探索した円卓の騎士パーシヴァル)の例と調和する。

1057  Also good as anny mane. (As good as any man. 『誰にも負けない。DeepL機械翻訳』) 別のバージョンではこの時点でイポクラスは甥が誰の力もかりないで学んだのを見て ねたんだり立腹したりする。D版は物語後半でイポクラスにだんだん妬みの感情を持たせることでユニークだ。

1062-3  Ypocras was ale olde, (Ypocras was very old,イポクラスは年をとっていた。)
And hys blode was ale colde, (And his blood was utterly cold, そして血液循環のよくない体が冷えた。)
D版だけが彼は年老いたので自らハンガリーに行っていないと書いてある。 古フランス語バージョンA※はこのことについて触れていない。 Yグループ原文は『彼は往くのがいやであった。』と言い表すC版とR版を除き 単に彼は行けなかったでその理由を説明してない。

 1063について: Galenic Medicine ガレン派医学の (本草医学的な)スタンダードで血液は加齢とともに冷えると考えられていた。 Nancy G. Siraisi "Medieval & Early Renaissance Medicine"(中世・初期ルネッサンス医学)  "An Introduction to knowledge and Practice"(知識と実践入門)  (Chicago and London 1990), p.103

1064  He let atyre wile a fyne: (He let attire well right: 彼は程良く装わせた。) D版は少年の服装についての詳細はフランス語に従っている。
Il conmanda son neveu à atorner (14.007) (Il commanda son neveu à s'habiller bien:彼は甥に良い服装をするよう命じた。) しかし古フランス語バージョンと中英語Yグループに書いてある彼の馬について言及していない。(例えばC版は、『一頭の乗馬を仕立てました。』)
Wright版:He let atyre a[nd] fyne, においてライト博士は、a を a[nd] と校訂したが ここの a はフランス語; à fin (意味は 'at or to the end' 最後に or 最後まで)からのアルファベット文字である。 (OED 古英語辞書参照 "afine and well-a-fine" 意味は "right well, 程良い、よかろう, Well indeed" 『いやはや,それはそうと、しかれども、日本語はDeepL翻訳による』)

1072  The childe couthe of the fysenamye,(The child knew by the physiognomy, 子供は人相で分かった。 ) 観想術はD版特有の診断である。 他のバージョンでは甥は子供のみまたは子供と両親のいずれかを診察する。 古フランス語バージョンA※がD版に似ている点は甥は 尿検査を要求する前に子供を診て次に王と女王を診る。 彼は子供の家族のビジュアル診察からどうかしていることが窺えた。

1076-9  4行の和訳:このような賢い学者達は過去にもいた。/ 今はそのようなものはいない。/ 彼らは皆研究をやめた。/ そして栄誉に満ちた地位と嗜虐に転じる。/ この教権反対者(聖職者の権力に反対する)の書入れ(改竄)はD版に特有なものである。

1082   From hyre maydens ten or twelue (From her maidens ten or twelve  10人か12人の彼女の小間使い達から) 他のバージョンに乙女達はいない。

1084-1093
1084-1089行和訳のみ: マダム、怒らないで。/ 私に話してください、どうか不愉快と思わないで。/ もし貴女がご子息を生かすことができるなら、/ 本当にマダム、貴女は告白しなけれなばなりません。/ お話し下さい貴女が犯した故意過失を/ 実は王は彼をこしらえていません。/
1090 And bot thow telle how hit hys (And but you tell how it is  そしてしかしどうなのですか)
1091 I may nought hel thy sone, iwis. (I may not cure your son,surely. 私は王子を治療することはできないでしょう,安全に)
1092 Of hys hele he ase ne swat  (Of his recovery he has not sweat 彼の回復について汗はかいていないのです。)
1093 Bot thow telle wo hym bygate. (But you tell who him begot  しかし貴女は誰が彼を生んだのかを吐露する。)

D版は他バージョンでの一連のマダムとのやり取りをこの一つの如才ない話し方に 要約する。他のバージョンにおいて口のうまくない甥は子供の父親の身元を 彼に教えるように王妃を賢明に説得しなければならない。

1087  schryue: confess(自白する、[古・詩]事情などが明示する)  : make confession (人に白状する)  D版特有の懺悔の言葉づかいの選択。

1092   Of hys hele he ase ne swat  (Of his cure he has no sweat or cure
swat について MED(中英語辞書) はこの例をswot (sweat 汗)の定義(語義=言葉の意味)に含めている。 しかしそれはbote (remedy,cure 治療)の定義のエラーかもしれないと示唆する。 他の中期英語バージョンA版で見いだされる。 

1061 I ne mai do þi sone no bot, (I not may do your son no cure, 私は貴女の息子に治療を施さないかもしれない。)
1062 But ӡif i wite þe sothe rot, (But if I know the true root, しかしもし私が真実のルートを知っていたら、)
1063 Of what man hit was biӡete (Of what man it was beget  どういう男によって生まれたのか)
1064 "Maister ,ӡhe saide, þat mai no man wite. ("Master, she said, that may no man know. 誰も知ることはできません。)

確かにA版はD版に似ているとはいえ swat という語は 単純な機械的エラーであったとは考えにくい。 そしてここではそれが精通していない口語的意味だったのかもしれない。 (MED : 中英語辞書に載っている『意味のいくつかに医学的背景がある。DeepL日本語訳』) たとえD1093のオリジナル同韻語が bygate でなく bygot だったとしてもこれはまだ1092swot と(弱韻として) 脚韻を踏んでいたかもしれない。botよりむしろ。 さらに, A版の対句1061, 1062 は D版の対句1090, 1091と 1092行 より類似しているようだ。 この不確実性から鑑みてJill博士は swat はそのままにして置くことを認めた。

1098  Thare was a prince hire bysyde, (There was a prince far byside, はるか彼方にプリンスがいた。) Yグループでは事件は4月に起こったと女王が言う。C版とR版は12年前とはっきり指定する。 "the queen's lover" (王妃の恋人)は 古フランス語バージョンA※ "li quens de namur"   中英語Yグループ:彼はNavern ナルワンのthe Earl (大臣,伯爵)である。 中英語ロマンスではNavern という地名をしばしば目にする。 (Campbell, Sebven .Sages P.161, note to I 1169)

1102   And so he [was] getyn ,iwis: (And so he was gotten , indeed: そうして彼は生まれました、確かに。)  択一的な語順はWright博士の"And so [was] he getyn,i-wis" Jill博士は、was he はD版では珍しいので he [was] を選択した。 B版を参照すると: 1079: And soo he was on me biӡete   (And so he was on me beget, 『それで彼は私に好意を持っていました。翻訳google』 『彼は私の上にいた。DeepL日本語訳』)

1108  he helyd the childe ol and sound (he heal the child all and sound 彼は子供を治して健康である。) 他のバージョンのここの詳細はそれぞれ微妙に違うが イポクラスの甥がどのような食事療法を処方したのかを語っている。 例えばA版で彼は王妃に命じる。
1082-1085
But for he was biӡeten amis, (But for he was begotten of friend, しかし彼は男友だちから生まれたのだから,)
Hit mot boþe drink and ete (It must bothe drink and eat  お飲みになりお食べにならねばなりません。)
Contrarius drink and contrarius mete, (Distasteful drink and distasteful meat,(food) まずい飲み物とまずい食事 or反対の嫌いな飲み物と反対の嫌いな食物)
Beues flesche and drinke þe broth (Bear's flesh and drink the broth  熊の肉を食べそのスープを飲みなさい。

1110-1111  And of the quene many gyftis fele (And of the queen many many gifts  そして女王から多くの多くの贈り物)
For he schulde hire counsel hele, (For he should keep her private matter secret,  彼女のプライベートのことは秘密にしておくべきだったから。)
D版だけ王妃がイポクラスの甥に彼女の秘密を守るよう勧めるために贈り物を彼に与えたことを語る。

1113  And told hym al how hit was. (And told him how it was. それでどうだったのか彼にすべて話した。) 
D版は王子の病気と治療についてイポクラスが甥にした質問とその受け答えの長めの台詞を要約した。

1122-39
  以下19行の和訳(メニュー和訳〜第4物語参照):
イポクラス師はじっと立って/ 良い薬草を見ていた。/ 「ボン甥よ、」イポクラスは言った。/ 「私は一輪(本)の癒しのハーブが見える。/ それを根こそぎ掘り起こしてくれないだろうか。/ 大量の草木でそれが病気の治療になるかもしれない。」/ その時子供(甥っ子)はイポクラスに言った。/ 「親愛なる先生、その薬草はどこにあるのですか?」/

1130 "Quod Ypocras, euer uorthym wo.  (Said Ypocras, may woe betide him always. イポクラスは言った、 『災い転じて福となす、DeepL機械翻訳例』)/

「見よハーブが生えている所は私のつま先だよ。/ 膝をつきたまえ/ そしてそれを掘ってそれを私に持ってくるのだ。/ そうすれば私はお前に教えよう、必ず。/ その中にある医学的効能とは何か。」/ 甥は直ぐ跪いた。/ イポクラスは直ちに剣を抜いた。/ そして彼の甥を殺した、気の毒なことに、/ 薬草を取るために彼が掘っていた間だった。/

他のバージョンにおいて甥はまず 一種類の薬草を持って来てその時叔父からもっと良いものがあると 言われ彼は、二種類めのハーブを取ってくる途中で殺された。 D版は唯一の薬草あるのみだが その場面はより対話的部分を含み 緊張感が生まれ殺人に達する展開が、 ナレーター特有の傍白、(上記1130行 『災い転じて福となす or 災いなるかな DeepL機械翻訳例 』) をイポクラスの台詞としまたハーブの効力を教えてやると約束して薬草を引き抜くよう 誘い込む手段を通じてクライマックスを迎えた詩行である。

1133  And dyggy[t] vppe and bryng hit me, (And dig it up and bring it me, そしてそれを堀り起こして or 発見してそれを持って来てくれたまえ。
写字生は不定詞と代名詞の縮約形の代わりに 過去形or過去分詞形 dyggyd を間違えて書いてしまった。(古;digged) dyggyt; 彼は縮約形を第1物語、631では正しく使っている。
Bot dyggyt vp by the rote (But=except dig it up by the root  木を根こそぎ掘り起こす以外に)

1137  Ypocras drow anoon fauchon   (Ypocras dnew at once sword  イポクラスはすぐさま剣を抜いた。)
古フランス語バージョンA※: "son coustel (son couteau  彼のナイフ)  他の中英語テキスト:それはナイフだった。  (C と R 版は凶器を特定せず。)

1139  Wyle he dyggyd aftyr the gtras. (While he dug in order to get the plant (herb) of healing power.  彼が治癒力のある植物(薬草)を手に入れるために掘っていたすきを狙って。)

1141    And bernyd hys bokys ilkon  (And burned his books each one  彼の本を一冊ずつ燃やした。)
C と R版はこの詳述を割愛する。Campbell博士 (Seven Sages ,p.161, note to 1. 1224) Hippocrates (B.C.460年頃ギリシャのCos コス島で誕生) の寓話を参照する; それは図書館員として彼の剽窃物を隠すためにギリシャ、コス島で 本を燃やしたという伝説である。

1143  For no man schuld lerne of ham good. (For no man should learn from him good or useful knowledge.  誰も彼から有益な知識を学んではならないから
D版だけがhis books 彼()の本を燃やしたイポクラスの動機を読み取る。 この局部でYグループ原文は神はイポクラスの行為を見そなわし病をもって彼に報いたと書いてある。

1146   He fel in a maladye (He fell in a disease (illness) 彼は病に倒れた。
古フランス語バージョンA※:dysentery ; 赤痢
中英語Yグループ A版(1122):menesoun (dysentery)

1148-9 
  Than was ale hys bokys lore,  (Then was all his books destroyed, その後彼の本はすべて焼き捨てられた。)
And he ne couthe ne medycyne þerfore.  (And he could not cure (there was no medicine that cure that disease,) therefore.  そのため治療もできなくなった、or その病気を治す薬はなかった。 )