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原書 THE SEVEN SAGES OF ROME (MIDLAND VERSION)

ローマ七賢物語 (ミッドランドバージョン) オックスフォード大学出版 2005

INTRODUCTION 和訳

(231) THEE NOR.(北部方言) この形式te(I)は Tak me thy childe that is te leue (D版54) (Take me your childe who is dear to you; かわいい陛下の子供を私に委ねて下さい。) D版の54行目に見出せてウエストライディングでのみ少数異形として文証されそれは、この原文においても マイナーな異形綴りです。 (他の形式:the(85(22rh)) þe(I) thi(I) )

(244) UPON NOR.(北部方言)  最も共通な形式は、uppon(35)ですが、 文献にあるのはランカシャー、リンカンシャー、イースト・ウエストライディング、そして the Isle of Man(マン島:グレートブリテン島とアイルランド島に囲まれたアイリッシュ海の 中央に位置する島、地図参照:Wikipedia:wp) だけです。これらのうち最後のマン島は明らかに問題の地域の外にあり(本文単語 falls) またランカシャー(北西イングランド)の認証は南の境界線よりも下にあります。 (他の形式:vppon(10))

(247) WELL 副詞 NOR(北部方言)  少数異形のうちで will (5(2rh)) はウエストライディングでのみ記録され、wylle (5(Irh)) はウエストライディングとノーフォークで見出され、 wile(I) はリンカンシャーとウエストライディング、 Berwickshire (バーウィックシャー;スコットランド南東部の旧州、 地図参照 WP:) に記録されています。 (他の形式: wel(26(11rh), wyl(2), wyle(2), wil(I), wele(Irh), welle(Irh)

 この証拠から筆写者の綴り字法のシステムは、(そう呼べるか呼べないかは別にして)概して 上記地域の南部地方の慣用法を反映していると思われます。 すなわち、リンカンシャーとイースト・ウエストライディングそしてリンカンシャー北部の狭い地域です。 特に、oppon その綴り字の発生、よく文証された形式は南部の境界線に大変近い区域で記録されています。 もうこれ以上はっきりさせようがありません。言語形式はしばしば著しくウエストライディングでよく文証されています。 この論拠は、scho, twa, fra, bath, bathe, swylk, swilk, swilke, whilk,  whilke, の綴り例に対しては確かですが、これではすべての異形を説明できません。それにウエストライディングには 未収録の異形もあります。 写字生の方言に該当するにはリンカンシャー( 地図参照WP:) は除き得るように思われます。ほんの僅かだけが境界線以内に分布があるからでまた幾つかの形式はこの領域の南の方へ 進んだ地方で記録しました。

63ページ

例えば少数異形綴り字mykile はリンカンシャーだけで確認され、 地図では当方の境界線下に載せてあります。 nouthirno のように。(あまりにもはるかに北のNorthumberland:ノーサンバーランド (地図参照は前ページWP:)との境界にあるDurham ダラム WP:地図参照の何処か他の所だけで文証された。) これ等の形式は原文が、その歴史の初期にリンカンシャーでコピーされていた証拠であるという事かもしれません。 追加的にこの有利な証拠として マイナーな異形、弱変化の動詞活用語尾-teが一度見出され、 それがまた地図上では問題の北部地域よりも下に位置区分されています。 おそらくere と同義語の少数異形綴り字 arre は一度 D版写本に見出されそしてリンカンシャーとOxfordshire(オックスフォードシャー: 地図参照 WP:だけで記録されています。

arreに関して翻訳追記 D版第2物語「犬」Canis(The dog) He said......901行
Arre I haue inqueryd more."「私がもう少し調査する前に。」 Before I have investigated more.
例えば中期英語辞書では、ereの見出し語は 副詞、前置詞 現代英語、early, before, rather, 異形綴り字の例は、 er, ear, aar, or, ar, 等が掲載されています。 写字生の方言において文中の中期英語単語(数字)はThe Seven Sages of Rome「ローマ七賢物語」の D版ミッドランドバージョンに異形綴り字が何回用いられているかということです。

原文の方言

 D版約3455行(Jill Whitelock博士編集)の詩にある 同音異義語と綴り字に誤りを生じた同韻語が、歴然として連句をなしていることにより 原文の方言が際立ってきます。再びよく文証された形式も信頼できる形式も少ないのですが。

(30) THEN. Tho (30(24rh)) (他の形式:than(54), thanne(8), thane(3) )

(85) BOTH.  写字生の方言項目の導入前で述べたように、大変珍しい同韻語beie を何らかの形式 bathe に置き換えて {bathe  twae} {twaye  bathe}と韻を踏ませています。 (D版1900, 1925) 
D版(第9物語 2066-2067
And puttyn out hys eyen
two,  それから皇帝の二つの目玉をくりぬき、
And put out his eyes two,
And fylden the hollys folle bothe, 両方の眼窩に金粉をぎっしり注ぎ込みました。
And filled the eye sockets full both,

同様に、上記の例では bo がおそらく本来は two と押韻していたのですが現存写本においてはbothe に改変しました。

(227) STEAD. 形式 studeは、 dude との脚韻語として一度見出せます。
D版( 第8物語 1738-1739
And anoon in the
stude  そしてわけなく直ちに  And soon immediately
A gret schrewnes he dude. とびきりきわどい悪事を彼にしてやりました。
A great wicked deed did him
(他の形式:stede(2rh))

(259) WORSE. 写字生の方言の前項、D版例文(3364-3365)で述べた通り、wurscurs の最初の 同韻語でしたが現存写本で wars に変改しました。

しかしながら他の形式もあります。(脚韻)
D版(ローマ七賢物語始まり 414-415
And now ne spekys he bettir no
wors- そして今彼は何語も喋らない方がいいのか、
And now no speaks he better no word-
Therefore haue Godys curse ! それ故に天の呪いを受けよ!   Therefore God's have curse!"

D版(第11物語 2429-2430
Do by the, or elleys
worse;  独力でおやりなさい、さもないともっと悪化しますわよ。
Do by yourself, or else worse;
Yf thou lyuest thow schal haue cursse".  もし陛下が信ずれば汝は呪いをかけられるでしょう。
If you believe you shall have curse"

 これらの形式が示唆するのは、現存D版を書いた写字生(北部方言と定義)が種本とした原文の方言は分類的に南西ミッドランド 方言に属するということです。 そのD版1284-5行の脚韻語にも興味を引かれます。

D版( 第5物語 1284-1285)
Thus hys wyf, that cursyd
lyste,  かくてたちの悪い女主人公である彼の妻は、
Thus his wife, that cursed a cunning person,
Brewed the childys deth that nyght. その夜子供の死をたくらんだのでした。
Brewed the child's death that night.
上記脚韻 lyste/nyght を考察すると オリジナル(初稿かつ校正的韻文)が lyste/nyste であらねばならなかったのです。 MED、中期英語辞書では niste を南西ミッドランド形式として引証します。 (この語はLALMEの言語ドットマップの地図に載せてありません。)
翻訳注: MED(HENRY編集)のnyght の見出し語は、古英語 naht です。nihte 形式があります。 金子健二博士編集「ローマ七賢物語」本書の由来にも 『詩の形式上から現存9種の古書の批判をするならば、・・・・・ 詩の規則を折々破ることがある。』と書いてあります。 Jill Whitelock 博士編集のIntroduction の論議は、 誤ってお国の形式で筆写したらしい同韻語や行内の語句の正しい綴り字形式を仮定し 古、中期英語言語マップで調べて、原文をコピーした筆写者の方言と原文方言を定義するという方法のようです。 すなわち現存9種には共通種本がありそれは燃滅しているかあるいは未発見という 系統図に反論しつつ従っているように思われます。

この推論は、行内の幾つかの形式によって裏づけられます。 hareは、their (彼等)の異形綴り字で20回以上発生し、北部方言の写字生が用いた th- 形式よりも頻出します。
64ページ    ( or も their の異形綴り字で語末の同韻語としてではなく行内に一回発生します。 or は珍しい Gloucestershire グロスタシャー: 地図参照) の形式です。  from の違った綴り形 fram は11回で、これもさらに北部形式の fra よりも多発しています。

D版( 第6物語 1345
And spoken togydir
or fylle, そしてお互い十分に話しました。 And spoke together their fill.

最後に take の過去単数形 to がD版1432行内に見出せます。
D版(第6物語 1432
To speke fayre he to hede.
優しい言葉をかけるよう彼は用心しました。 To speak kindly he took heed.
そしてLALME言語マップに記されていないけれどもこの形式toは南西ミッドランドの異形として MED:中期英語辞書に記載されています。

範囲をしぼりました。 Herefordshire(ヘレフォードシャー :イングランド南西部の旧州 地図参照WP:) South Worcetershire(サウスウスターシャー:イングランド南西部の旧州  地図参照WP:) North Gloucestershire(ノースグロスターシャー地方) Warwickshire(ウォリックシャー:イングランド中部の内陸州、 地図参照WP:) Shropshire(シュロップシャーの狭い地域:イングランド中西部のウェールズに接する州、 地図参照WP:)

 しかし、これまで描写した統計的な情勢では 言語プロフィールの全形式を説明することはできないと言わざるを得ません。それで 仮説的提唱にとどまらねばならないのです。 下記の残存する単語形式を見ると East Anglia (イースト・アングリア: 地図参照 WP:) のどこかで写字生が手書きコピーした原文ではないのかという説得的証拠があります。 特にNorfolk :ノーフォークで書いたように思われます。

East Anglian : 東アングリア形式

(32) THOUGH. thou(3)は、Suffolk(サフォーク: 地図参照WP:) のみで記録されています。 (他の形式:thow(3), tho(2), the(I) )

(45) NOT. 異なった形式は登場人物のいろいろな考えや感情を起こさせる詩行に見出せます。 nowte(現代英語not) と bythout(intent, thought,considered, rsolved. devised, planned, etc.) の脚韻語は、ノーフォークとサフォークで記録されます。
D版(第14物語 2879-80行
The leuedy durst speke
nowte, 婦人にはあえて話す勇気があるのではなく,
The lady dared speak not,
Bot of a qweyntys scho was bythoute. トリックのことを言わずに彼女は専念していたのです。
But a trick she was intent on.

noughI)はサフォークとヘレフォードシャーで見出され、 nawt(2)はノーフォーク、 Somerset(サマセット: 地図参照WP:)ウォリックシャーで記録されています。

中期英語綴り字 -ought となる項目に収集した形式の中で -outeは,( broute, wroute, thoute, bythoute) のように形を変えて4回発生しこれらもまた ノーフォークの暗示的形式です。
(他の形式:nouӡt (41(8rh)), nought (28(7rh)), nowt (24(8rh)), nout(7(2rh)), noght(2(Irh)), nowght(2), noughte(Irh))

(54) THROUGH (through...を通って) 少数異形のうち thourth(I) はノーフォークとデボンだけで記録されます。 (他の形式:thorow(14), thourow(8), thorou(I), thourugh(I), thorug(I), thourgh(I), thorugh(I))

67) ADDER) SOU.(南部) 『現代英語:adder クサリヘビ (viper)英国産の唯一の毒蛇 ;旺文社 コアレックス英和辞典より & 欧州産のマムシ、北米産の無害なヘビ ;三省堂カレッジクラウン英和辞典より,nadder2)形式はノーフォークだけで見出されます。 nedder(2)がノーフォーク、グロスターシャー、シュロップシャー、ウスターシャー で記録されているのに対し naddir(3)は記録されません。