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2020 翻訳中です。B


原書 THE SEVEN SAGES OF ROME (MIDLAND VERSION)
ローマ七賢物語 (ミッドランドバージョン) オックスフォード大学出版 2005

  INTRODUCTION   和訳

37ページ

★a statute of Henry III for 1266-7: ヘンリー3世の制定法
★a list of churches, monasteries, and hospitals of the city of London: ロンドン市の教会、修道院、病院のリスト
★The Siege of Rouen: ルーアン包囲戦
★verses by Lydgate on the Kings of England from conquest to Henry VI: ノルマン人の征服からヘンリー6世までのイギリス国王について韻文
★Gregory Skinner's Chronicle of the Mayors of London: グレゴリー・スキナーのロンドン市長年代記
the Seven Sages 七賢物語E版からの抜粋は、Petras ペトラによって彼の論文補遺に印刷されました。 E版から異文はBrunner ブルンナー版に載っています。

7. B-Oxford, Balliol College, MS354105
          オックスフォード、 ベリオール・カレッジ            
     

Richard Hill's Commonplace Book, リチャード・ヒルの抜き書き帳、紙、s.xvi  この巻の中英語最新の日付は1536年そして初期は1508年です。Dialect:southern: 南部方言 The Seven Sages : 七賢物語は完全テキストff.18ra-54rbを占めます。 このB作品の題名に載せる装飾文字の巻頭言は次の通りです。 "Here begynneth þe prologes of the vij sages or vij masters which were named as here after ffolowith." ずっと昔七人の師と名付けられた時以来の写本ページのように七賢物語プロローグの始まりです。

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奥付には次のように書いてあります。年代記と統轄者の文書から引き出された七賢物語はこんなかたちで終わり私が前述べたように その中には優れた物語があります。リチャード・ヒルは言いました。 f.176rによれば Richard Hillは、ロンドンの 支配者M.Wyngerに仕える僕でした。ベリオール・カレッジの写本カタログは私たちに彼は1490年少し以前生まれの食糧雑貨商だったことを 伝えています。

The Siege of Rouen: ルーアン包囲戦
Trentale sancti Gregorii pape (IMEV,no.1653): 死者のための30日間のグレゴリオ聖ミサ
★Some extract from Gower's Confessio Amantis: ガワ―の「恋人の告白」からの抜粋
★two poems by Lydgate ('On the Virtue of the Mass' 'The Churl and the Bird'):リドゲート(1370-1425?)による2詩編「ミサの美徳」「カールと鳥」
★an Anglo French vocabulary with a bilingual text of the Boke of Curtasie: 二言語テキスト「礼儀本」付きアングロノルマン語の語彙集
★London annals for the years 1414-1536: ロンドン年代記 1414-1536年 ★several other verses, songs, carols and miscellaneous pieces of information: 他に幾つかの韻文、詩歌、聖歌と種々雑多なものから成る情報記事。
この現存するSeven Sages 七賢物語はB写本で H. Varnhagen(Eine italienische Prosaversion der Sieben Weisen:イタリア語、 Berlin, 1881) によって最初に注解されました。B写本の描写はテキストの内容が充実し、F.Flugel エリック・フリューゲルによって記事に載せられ また特にR.DyboskiによってEETSエディションに記載されました。B版から異文はBrunner:ブルンナー版に表示されます。

4. 写本間に相互関係があることについて

 中期英語Seven Sages は根源的にガストン・パリ(Gaston Paris)がAと指示したフランス語版"The Seven Sages of Rome" [...du Roman des Sept Sages de Rome]に由来しますが、ここにAとして(前ページorページ下系統図参照)Auchinleck写本の中のSeven Sages バージョンは、金子健二氏解説ではAuchinleckの頭文字からA、或はMS Adovocates の頭文字からAと銘名されているので(系統図Yグループ写本1.参照)古フランス語版Aと混同を避けるよう言及します。フランス語版Aは散文で書かれたSeven Sages ですが、ストーリーの内容と順序は 中期英語テキストと同じで翻訳、語法を考慮しても英仏両バージョンは内容の著しい類似点を示しています。

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フランス語散文体バージョンAはおそらく12世紀のものと推定され、それも失われたフランス語韻文バージョンから派生したらしいのですが、 その典型的なフランス語テキストAを英訳したものを統計図において、中期英語Seven Sages グループすべての写本 の現存しない母体バージョンXとして仮定してあります。チェコ共和国、カール・ブルンナー(Karl Brunner)博士は彼のエディションで意見を述べています。 __ある特別の写本フランス語バージョンAは中期英語テキストに最も酷似して姉妹関係がある。__その探求は、おびただしい数のフランス語写本があるうえに その大部分はただ取るに足りない言葉の綴りの変体のみが異本であることを証明するため進展していません。 もちろん、中期英語テキストは現在煙滅しているフランス語バージョンに由来していると考えられその一冊は韻文体かもしれませんが、 ブルンナーが観察したようにもし「the seven sages :七賢物語のように広く普及した古書」を含むような古フランス語バージョンがかつて存在していたのならば 誰でもそれを複写しようと思えば複写できたものを。[中世期イギリスには英語とフランス語を読み書きできたイギリス人が大勢いたそうです。]

散文体フランス語A版は、初めは1275年頃(13世紀)中期英語に翻訳されそしてその翻訳書が現存しているすべてのイギリス中世期写本の 親バージョンであったという仮説をアメリカ合衆国、キャンベル博士(Killis Campbell)が提唱して推し進めました。この説については序説後半で検討します。
 キャンベル博士の研究の前、大抵の鑑定家達は中期英語写本の大半は共通古フランス語の原典から独立した翻訳物だったと信じていました。 トーマス・ライト("Thomas Wright)は、1845年「七賢物語」Dバージョン:The Seven Sages Dd.1.I7,(Cambridge University, 前ページ参照) 最初の校訂者となりました。確かに彼はテキストを校閲して他の詩(poem)とは何の関係もないと考えました。 キャンベル博士は、A版、Ar版、E版、B版、そしてC版を(その時R版はまだ鑑定されていませんでした。)入念に比較してみました。すると 多くの全く同じ詩行と類似韻があらわになり、それら詩句が連なっていたことから彼は、これらの写本は結局 共通な中期英語古書を種本として 派生したに違いないと推論して、彼はその中世期にイギリスで書かれたであろう共通種本を記号Y[煙滅し現存していない古書]と表記しました。(Rもあとでこの Yグループに包括されました。)そのうえ彼はF版(前ページ参照)とmanuscripts:諸写本間においてもFバージョンはYに由来したと 仮定するに十分な相似点を見出しました。それは第13物語 "Roma (Rome)"以降に顕著でした。
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それでthe seven sages すべての写本は、キャンベル博士によりYと表記された1グループを形作りました。 Y系統に入らない写本はさらに別系統に由来しました。
 キャンベル博士は同様にD版を他の中期英語写本と比較したところ言い回しや出来事の面で十分な類似点を発見しました。 (古フランス語に比べてD版とYグループとは一致している。) そこからD版は古フランス語から独自に翻訳した一冊の書ではなくYグループに関係していると推断しました。 DはYすなわちYグループの写本のうちのどれかを原作にして書き上げることができたのではありませんでした。 それはDにYグループのどの写本よりも古フランス語原書に忠実な語や行が幾度(often)も現れたからです。 またYグループもDを原作にして書き改めることができたのではありません。 なぜならばYグループにおいてもDでしばしばそうであったよりも古フランス語原文に即している語や詩行が時折(sometimes) 現れたからでした。ゆえにキャンベル博士は、DとYは彼が記号Xと明示した一つの共通原版を通して関係があったと結論しました。 したがってXは中期英語母体バージョンとなりました。 現存しているThe Seven Sages 原文の最古の物は1331-40年頃(Auchinleck写本)と推定されるので キャンベル博士は、Yをおよそ1300年頃と算定してからXはそれよりも古く約1275年頃とみなしましたがそれも 用心深い推定としてでした。
 Yグループ写本の相互関係を考察してキャンベル博士は、現在まで伝わる写本は下記の部分群の系統図を作り上げるという結論に帰結しました。

1)CとRは crで示された共通原典に由来しました。[Northern Version: 北部方言バージョン]
2)F, A, Ar, E, B [Southern Version: 南部方言バージョン] この部分グループ内でA, Ar, E,そしてBは共に、特殊的Fに反して さらに系統的に分類されます。それから AとArは最終分類の要素となりそしてまたEとBも同様に最終グループを構成します。

 カール・ブルンナー博士は彼の編集した"the Seven Sages"序説で彼自身の裏づけとなる証拠を挙げながらキャンベル博士の結論を大方認めました。 ブルンナー版に印刷された"the Seven Sages" 8種の写本間の関係を示す系統図はこれらの要点を抜き出して記してあります。 (小文字 x, y, cr, z, v, t, はまだ未発見の現存している写本があるという仮想バージョンです。)  しかしながら、ブルンナー博士はまだキャンベル博士の憶測によるDとYとの関係には懐疑的(sceptical)でした。 それゆえに(hence) 中期英語の母体バージョン x.の存在がある事。 (the existence of the Middle English parent version,x.)  ブルンナー博士はフランス語原文(the Frenchと対比して、中期英語D版とYグループで一致していると思われていた挿話の幾つかは 古フランス語散文体バージョンAの綿密な検討(examination )に照らしてみれば支持できるはずがないと表明しました。

補足  古フランス語版との不一致例
第2物語 "canis" において
すべての中期英語版:knight,ナイトは彼の犬の背中を打つ。
フランス語写本: ナイトは犬の頭部を打つ。
第14物語 "inclusa" において
すべての中期英語版:ナイトは母国ハンガリーからやって来てladyをPoyle(Apulia) で見つけた。 Poyle のスペルは、DとYグループ内でも Pletys, Plecis, Plecie, Puile, 写字生次第
しかし フランス語原文では、ナイトは Monbergien という所からハンガリーに来てレディーをハンガリーで見つけた。 (Southern Version introduction から)}

(キャンベル博士は推定上一致した文書のどれにもアクセスすることなく、Le Roux de Lincy によって出版された本をずっと用いていました。 そのフランス語写本は古フランス語散文体バージョンA写本とわずかに異なる散文が含まれています。フランス諸写本間には登場人物の人数などに不一致がある) キャンベル博士が根拠として列挙したDとYグループ写本間にある原文類似についてブルンナー博士は、これらの相似は完全に決定的とはみななされない けれどもキャンベル氏が強調した多数の一致は十分ありそうな事であると彼の意見を述べています。 それでブルンナー氏は、DとYが古フランス語から独立して派生したことを示している二者択一的系統図を彼の編集した本に載せました。

Le Roux de Lincy : (1806-paris, 13 May 1869): フランスの図書館長、ロマンス語学者、中世研究家)
参照 『 西洋本「七賢物語」8種分類 日本人金子健二氏の「ローマ七賢物語」本書の由来から 』
1.Scala Celi 系(ラテン語) 14世紀初頭
2.ラテン語のHistoria Septem Sapientum 系 14世紀 
 英、仏、独、オランダ、スウェーデン、スペイン、ロシア等に伝わった物
3.ケルラー氏(keller)の出版した古代フランス語詩系統  12世紀中葉
4.Versio Italica 系 14世紀
5.Male Marrastre 系 15世紀
6.Version Derimee 系 フランス語散文体、詩の形式混入
7.Le Roux de Lincy系 (フランス語の写本)"Roman de Sept Sager" 系 古書約数種
8.A. d'Ancona の出版したイタリア語の散文物  英、仏、伊諸書に最も関係がある。 中世英語の「七賢物語」異本9種は 8種系統に入れるべき物。