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原書 THE SEVEN SAGES OF ROME (MIDLAND VERSION)
ローマ七賢物語 (ミッドランドバージョン) オックスフォード大学出版 2005

INTRODUCTION 和訳 

45ページ

手紙例F版(II. 2190-2194)
And to hym sche caste a lettyr そして彼に彼女は一通の手紙を投げた
(And to him she cast a letter)
For to spede all the bettur すべてよりよき人をせきたてるために。
(For to speed all the better)
The lettur spake of loue fyne その手紙は美しい愛の話言葉で
(The letter speak of love fine)
That was wreten yn that parchemyn. 羊皮紙に書かれていた。
(That was written in that parchment.)

手紙例C版(C II. 3335-3338)『日本語訳は金子健二氏訳』
A letter sone sho kest hym till. 『彼女は直に一通の書面を彼に投げました、
(A letter soon she cast him till,)
Wharby he might wit al hir will.『それを読めば彼は彼女の意中の凡てを知ることが出来るやうになっていました。』 (Whereby he might know all her will.)
Þe knight toke vp þe parchemyne, 『武士はその書面を拾いあげました、』
(The knight took up the parchment,)
And red þe Franche ful fayre and fyne; 『それは非常に美しいフランス語で書いてありました、』
(And read the French full faire and fine;)

45ページ

古フランス語のjonを中期英語rech.risshe,イグサと直訳した Ar版とB版(※ 前ページ)をブルンナー博士の写本系統図の一番底にどうして配列できるのか、同じ解釈はD版rescheなので 仮定上の中期英語母体バージョン x にその他のYグループ姉妹版は反しているのです。 さらに、E版は、C,R,F版に従ってイグサの代わりにletter,手紙と訳しているので、言葉遣いに関しての実例ではE版とB版よりも Ar版とB版の方がずっとよく分枝の対になるのです。 この他の例もキャンベル博士とブルンナー博士の分類の容易さに疑いを起こすに違いありません。 特に最後の例は、種々の原本、 不純な混合をした写本、もしくは口頭による混成の可能性によって発生したようです。(※注:oral contamination : the rush or the letter, イグサあるいは手紙のような詳細は他の写本の音読の聞き取りからすらすらと暗記できただろうにできなかった。rとlの発音?)

キャンベル博士はEについてこの可能性を本当に心に抱きました。 彼はEとAr間に他の写本に対比してそっくりなものを幾つか見つけたからです。 Eの著者は読んだことがあり知っていてある部分はArに影響されたというような事は証明することができないけれども 不可能ではないように思えます。 私達がちょうど考察した例はしかし、B版と対照してEとAr版が時々一致することより(※前ページCD参照) かなり大きな影響を及ぼす問題をほのめかしています。この場合は、内容語彙の手紙E版は、C版 R版とF版から線を引き、 Ar版とB版は、D版と古フランス語の意味を変えずイグサ、 したがってブルンナー博士の系統図と共通種本の考え方をくつがえします。 しかしそれどころかむしろ共通種本 y は中期英語母体バージョンxのその箇所を違えず写し、それから 手紙でなく婦人によって用いられた考案物としてのイグサを表記した、従って Ar版とB版は系統図を決して無視していないとおそらく主張したのです。 この場合には、もし我々がブルンナー博士の写本系統図を保ちたいならば、手紙への変化は C,R,F,とE版で独自に起こったのであろうと言わねばならないけれども、もっともこれはたぶん 系統図のようではありません。 古フランス語はイグサなのに手紙という点で C,R,とF版には語句と細部に沢山の一致があります。

46ページ

これらの問題の解決策はおそらく多様な親本、原文の不純な混合、口頭による混成の歴史に存するでしょう。 しかし今そうした現存写本がないのでこれは依然として推定校訂の状態のままです。 いかなる場合でも状況はブルンナー博士の系統図が容認したよりもはるかに複雑でおもしろいものです。 "The Seven Sages"「七賢物語」の現存している写本は、年代順にも方言的にも散らばって保存されています。 各版本に対応するための写本の多くは失われたに相違ないので、前述のわずかな証拠に基づいて系統図を 組み立てる望みはもうほとんどないのです。

5. DD.I.17 と他の写本の関係

本文注釈ページ

 もしミッドランドバージョンD とその他の写本との関係に転換すれば 共通中期英語母体バージョンx から2方向に枝分かれしたDY間の関連を見出すためのキャンベル博士の証拠には 完全に満足していなかったことを覚えているでしょう。キャンベル博士は、 中期英語写本D版とA版、D版とE版の間で類似を示す約52比較パッセージをリストにしました。 他の研究者が引用された文章はありませんがそこは論争点のために十分です。キャンベル博士の約52類似パッセージは いかにも印象的な証拠(evidence)となる文で構成されていますが、ブルンナー博士の不満足は他の研究者達によって分かちあえるので さらに積み重ねた証拠(proof)を提供することもできます。 まずキャンベル博士は、彼の比較をA版の行が欠けている時はE版のみを用いてA版に限定していたらしいということは注意すべきです。 実際D版が別の写本と比べられる時には相似2行連句の何節かはなお一層納得が行きます。 あらゆる場合にA版はyグループを最も代表する版本であることを仮定する理由はありません。 以下の例のようにD版は第一に引用されて大変近似した写本に続き次にA版です。 キャンベル博士の引用と同様です。 ( 引用した版と行番号は私自身:ジル・ホワイトロック博士編集D版から、 ブルンナー博士とキャンベル博士編集yグループ版から記入、

1. I schal saue thy lyf a daye.(D l.381私は一日貴方の御一命を救います。
I shall save your life one day.
2. I schal saue the o dai (E l.375)
I shall save you one day
3. I schal the waranti o dai.(A l.389))
I shall you save one day.

_______________________________________________

(D l.388-9)
4. Thus thay were at on alle,
このように彼らは意見が一致していました。
Thus they were in agreement,

5. And wenten agayen into ’þe' halle. それから大広間に戻りました。
And went back into the hall.
47ページ (C ll.467-8)
6. After þir wordes rase þai all
『彼らは彼らの言葉を言い終わった後皆立ち上がりました。金子健二氏訳』 And their words rose they all
7. And went agayn into þe hall 『そして講堂に再び入りました。金子健二氏訳』
And went again into the hall
(A ll.397-8)
8. Wiӡ þis word þai ben alle,

Wield this word they have been all
9. Departed and comen to halle 出発してホールに着きました
Departed and came to hall

_____________________________________________

(D ll.1546-7)
10. To do thy wyl by anyght,
 夜のつれづれの相手とするためにも、
To do your will be at night,
11. Yf I schal helle the aryght.  もし私の陛下にほどこす治療が適切ならば。
If I shall heal you in the right way.
(Ar ll.1567-8)
12. Haue a womman to pleie with a nyӡt,
 夜の営みのために女性をお受け入れなされ
(Have a woman to play with at night)
13. ӡef ӡe wil be hol aryӡt
(If I will be heal properly)
(A ll.1567-8)
14. Haue womman to pleie ariӡt,

Have woman to play well,
15. ӡif ӡe wil be hol apliӡt,
If I will be hol properly,

__________________________________________

(D ll.2485-6)
16. Bot sayed for non wordlys wyne
 けれども浮世の楽しみのためではないと言った。
But said for no worldly gain
17. Schulde no man parte hom atwyne.  誰も別々に家に帰るべきではない。
No man should go to home in two.
(Ar ll.2571-2)
18. Þe lady swor for no wynne
 夫人は浮世の楽しみのためではないと断言した
The lady sware for no wynne
19. Sche ne wolde neuer part atwynne    彼女は決して別れて去ろうとしなかった。
She would not never part separate
(A ll.2581-2)
20. Þe leuedi saide for no wenne 
夫人は生きる喜びのためではないと言った
The lady said for no joy
21. Sche ne wolde neuer wende þenne.  その時から彼女は決して家路につきますまい。
She would not never direct her cours then.

これら原文の例は、D版はA版と一致するよりも他の写本とより綿密に合致している部分を明確に表示しています。 そしてもしキャンベル博士がただA版のみに制限していなかったら博士の証拠はもっと堂々たるものになったのですが。 それに加えてD版とその他写本全部との比較が、DとA版では見つからなかった幾多の異なる原文類似点を現しそれはキャンベル博士が引用した 例文に同じく"The Seven Sages"から受ける感銘でもあります。次の例はDの原文に最もぴったり合っている写本の二行連句を並べて 比較のためにA版の原文も現存している本から照らし合わせて解読します。

(D ll.167-8)
22. That on a day in the 'h'alle
 その日に講堂で
That on a day in the hall
23. He disputide with ham alle  王子はすべての師達と論争していました。
He disputed with them all
(C ll. 209-10)
24. Þat þe ferth ӡere in þat hall
 『かくて彼は第四年目には、其の講堂に於いて』
That the fourth year in that hall
25. Dessputed he with his maisters all  『その凡ての師匠と説を争うほどになりました。金子健二氏訳』 Disputed he with his masters all
(A ll.179-80)
26. Þe ferӡe ӡer, hit was no dout,
 第四年目には恐らく、
The fourth year, it was no doubt,
27. Wiӡ his maister he gan to despout  王子の師匠と彼は議論をし始めました。
With his master he began to dispute